第10話

──…まつ毛、長いなぁ




綺麗な二重まぶたの瞳は閉じられていても美しく弧を描いている。





佑弥くんの柔らかい黒髪にそっと触れる。少し癖のある髪質、そのなんとも言えない触り心地が大好きで…私はよく佑弥くんの髪に触れる





そしてその度に毎回─…





「─…さわんな、」






っと言って手を払い除けられる。もちろん今も例外ではない。寝ていたはずの佑弥くんが目を開いて私を凝視している。







『っお、おはよう佑弥くんっ!ごめん…起きて待ってようって思ってたのにいつの間にか寝落ちしててっ、』





「別に、今更お前になんも期待してへんわ。ビリケンみたいな顔面晒して爆睡してんの見たときはさすがに心配になったけどなぁ…」





───びりけん…?って、ビリケンさん?





『っひ、ひどい!いくら私がブスで不細工でも彼女に"ビリケン"なんてっ、』





「なんで?あかんの?俺、結構好きやで?ビリケンさん」





……そう言われると、ビリケンと言われたことが少し嬉しいと感じはじめる私も相当イカれてるな

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る