第33話

芹がエレベーターで9階に戻っている間

製造部で交わされた専務と主任のやり取り─…





「専務、お疲れ様ですっ!!!」




体育会系の主任によるアツい挨拶に続き、他の社員たちも同じように張り切って挨拶をする




『あぁ、ご苦労さま─…手を止めてしまって申し訳ないです。コレ、そこで会った女子社員から受け取ったのでお渡ししておきますね。』





先程芹菜から受け取った書類を主任に手渡す





「専務がわざわざ届けてくださるなんて、ありがとうございますっ」




『会社が成り立っているのは現場で働く社員の方が居てくださるおかげなので。たまには顔を出して、直接お礼を言わせてもらいたくて。いつもありがとうございます、ご苦労さまです』




「「(専務、マジリスペクトっす!!!)」」






なんて、社交辞令はこの程度で十分だろ?





『っあ…わざわざコレの為に主任の手を止めるのはどうかと思ったので。"発注書BOX"をここに設置しますね。これからはソコにこの書類を入れてもらえれば、事務職の社員が取りに来て持ち帰るようにさせます。これで"無駄な接触"は避けられるので、その分余った時間を休憩時間にでも使って息抜きしてください』





芹菜の手をこんなゴリラ野郎に触れられると困るからね。無駄な接触は…この俺が消してやる





だいたい─…俺の芹をパシリ扱いしてることも気に入らねぇが、そのくらいしか芹に出来る仕事がないことは俺も承知している。






だから目をつぶってやっていたというのに、こんなゴリラ野郎の元へ通わせようとしていたなんて。芹の上司のバーコード頭は、頭の中までバーコードで出来てる?そろそろあのハゲ…どこかへ飛ばしてやろうかな?




あぁー…ここに来てモヤシが役に立っていたとはね。あれはあれで必要な駒だった訳だ。まぁいい、ゴリラとの接触はおそらく回避出来た。






「──専務、そろそろ…」





いつの間にか俺の後ろに立っていた有能な秘書、"小山内おさない"。コイツが管理部に手回ししてくれたおかげで先程エレベーターの中で芹と触れ合うことが出来た。





全く、有能な秘書だなぁ…臨時ボーナスやらねぇとね。仕事のデキる人間は嫌いじゃねぇよ。

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