第27話

『ば、バグったか─…遂に。』




私のスマホにもバグというものが、生じたのか





たまにそんな話を聞いたことがある。連絡先が全部消えたーと嘆いてる高校生に電車で遭遇したこともある。





私にも遂にそれと同じ現象が─…いや、でも特定の人物の名前だけ残ってるのおかしいよな?






もはや進藤さんのことなんてどうでも良くて。私自身、身に覚えがないということは─…






『──誰かに、スマホ…見られた?』






急に、怖くなった




職場で私と海吏の関係を知っているのは、社長と社長の秘書…それから海吏の秘書の三人だけ





それ以外の人が私のスマホを勝手に見たとなると…マズイ、海吏と夫婦であることが明かされてしまう





『か、海吏くんにっ…知らせないとっ、』






震える手で、海吏の電話番号を開き…そっとタップする。通話画面に切り替わったそれを見て、慌てて"終了"のボタンを連打する







勤務中に電話をかけるなんて…どうかしてる。私はバカだ…だから海吏にいつも呆れられる

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