第25話

「─…一ノ瀬さん、研修お疲れ様」




会社に到着してタイムカードを押している時に、上司に声を掛けられて首を傾げる





──研修?研修ってなんのことだろう。っえ、もしかして私…何か大事な研修に出る予定だった?!すっぽかして海ちゃんとイチャイチャラブラブ束縛ごっこを楽しんでっ、、





「一ノ瀬さん、これ進藤さんから。同期の一ノ瀬さんに挨拶出来ずに去ることになって申し訳ない…って残念そうにしてたよ。」






上司から手渡された小さな紙袋の中には…可愛らしいハンカチとちょっとしたお菓子が入っていて。






『……え、進藤さん…どうしたんですか?』




「あぁ、彼は長期で新店の手伝いに行くことになってね。あの若さで指名されるなんて、本当に凄いことだよ。上司の私も鼻が高いよ」






──…そーなんだ、急だなぁ。





お別れの挨拶は確かにしたかったけど、こんな風にモノを貰ってしまうと困る。なぜなら"お礼"を伝えないといけなくなるからだ。






それに、こんなモノ家に持って帰ったら…「あのモヤシ男…炒めて食ってやろうかな?」なんて怒り心頭の海吏サマに進藤さんがモヤシ炒めにされる危険性が浮上する。






せっかく出世したのに、私のせいで海ちゃんに目をつけられたりしたら可哀想だしなぁ?





やはり直接連絡をとって、この贈り物を返送させてもらおう。

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