第24話

【籍を入れる前の遊びは受け入れる】




そんな言葉を使って、海吏のことを縛った。






この文言だけ見れば、私は女遊びをする婚約者を野放しにしている心の広い寛大な人間に映るかもしれない。





─…でも、実際はその逆。全然寛大でも優しくもなんともない。






籍を入れる前─…それはつまり、籍を入れた後の遊びは絶対に許さない。その後の海吏の人生は全部私に尽くしてね。





なーんて、恐ろしい意味が隠されていたことに彼は気付いていないみたいだったけど。






実際に籍を入れてから、海吏は人が変わったように私に尽くすようになった。その心変わりの原因が何なのかは未だ分からないけど─…






私は今の海吏のことを、とても信頼している。





よく人から"抜けている"、"ふわふわしている"、なんて言われることがあるけど。海吏のことになると、私は人が変わるのか…独占欲のようなドロドロした感情に支配されることがある。





そーなれば、自分で自分のことを抑えられなくなるほどに…酷く感情的になってしまうことも過去にあった。






─…それでも、






海吏はそんな私を突き放すことなく、受け入れてくれた。「お前みたいな頭のおかしい女は、俺にしか手懐けられない」なんて言いながら。

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