第23話

満員電車、っというほど混んではいない電車の中…窓から流れて線になっていく景色を見ながら1人、昔の海吏のことを想った。






【この先の人生お前1人だけとか、つまらない】






幼い頃から"私と海吏は将来結婚する"っと、海吏の両親と顔を合わせる度に言われ続けた。それは海吏も同じ。私の両親に同じことを言われて生きてきた。





"結婚"なんて言葉の意味をちゃんと理解出来たのは中学生になった頃で─…





先の人生を見据えた海吏が、お正月の集まりで私と顔を合わせた際に、二人きりになったタイミングで言ったセリフが先程のアレだった






その時思ったんだ…あぁ、結婚が楽しみで嬉しいと思ってたのは私だけだったんだ─…って。







海吏は小学生の頃から物凄くモテた。それは中学に上がってからも同じ。色が白くて線が細いのに体つきはしっかり男の子で。中性的な顔立ちの海吏…女の子はもちろん、男の子も見惚れてしまうような…そんな美しいビジュアルの彼






周囲の人間が放って置くはずがなかった。






だから─…私は彼のことを"縛り付けた"

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