第17話
そう思った時、身体が椅子の間からスポンっと抜けて尻もちをつく。─…っあ、押し戻してくれたんだ。
「信号、青だから早く座ってベルト締めろ。お前が座らねぇと発進デキねぇだろぉが。後ろからずっとクラクション鳴らされてんだよ、そろそろ通報されるから早く座ってベルトしろ」
うわっ、ごめんなさい後続車両の人々!!ご迷惑をおかけ致しましたっ!!!
運転席の後ろの席に座ってシートベルトを締める。何故この席なのかと前に尋ねたら、「社長とお前以外座らせねぇ席だから」なんてよく分からない理由が返ってきたので気にするのは辞めた。
欲を言えば助手席に座りたいけど…「座らせてやってもいいけど、助手席って死にたがりが乗る席だからね。どーでもいい奴しか乗せたくねぇからお前は乗らなくていい。」っという謎理論が返ってきて、こちらもあっさり諦めた。
以降、海吏の運転する車の助手席に乗っている人は私の中で"死にたがり"という位置付けになっている。
ちなみに以前社長は、秘書の運転する車に乗っている際に一度事故にあわれている。その時に乗っていたのは助手席だった。全治数ヶ月の大怪我を負われてたっけな…─って、もしかしたらそれが関係してるのかな?
──な、わけないか。
『海ちゃん、車から降りたら家まで走ろうね?殺されるかもしれないんでしょ?マフィアとかスパイみたいな人が引っ越してきたのかな?ここ、タワーマンションだし、お金持ちの人いっぱいだし…』
「あぁー…俺が一緒にいる時は平気、だって俺…裏社会のボスだから。スパイとかマフィアとか余裕で返り討ちに合わせてやるから。」
『───え?!なんて、』
「嘘に決まってんだろ。少しは疑えよ面白くねぇ女だな…」
海吏なら"悪いオトモダチ"が居てもなんら不思議ではないな…っと思ったことは伏せておこう。
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