第16話

「だーれが、許した…なんて言ったよ。思い出してみ?"正解"とは言ったけど、許してやるなんて一言も言ってねぇよなぁ、俺。つか謝れば済むと思ってることにビックリだわ。あーあ、浮気者の一ノ瀬 芹菜さん。どんなお仕置きが必要かなぁ?悪い子だね全く、どうすればお利口になるのか永遠の課題だわ」





──よく喋るなぁ、海吏くん





怒ってる時とか拗ねてる時とか機嫌が悪い時なんかは、こんな風にとても長々としたセリフを淡々と話す海吏サマ。息継ぎデキてる?いつか呼吸困難にでもなったら大変だから、救命士の資格でもとろうかな?






「おいおいおい、お前さぁ…後ろに乗ってるからって油断しすぎなんじゃねぇの?俺の言うことガン無視で、何くだらねぇこと考えてんだコラ。つかベルト締めろ、死にてぇの?」





赤信号…普通に止まればいいのに、ワザとブレーキを強く踏んで私の身体が前に吹っ飛ぶような荒くたい運転をする旦那サマ





吹っ飛んだ身体が運転席と助手席の間の空間に挟まって、上半身が飛び出した…ビックリ箱から登場したようなスタイルで海吏サマのお顔を斜め下から見上げる






『やっほー海ちゃん!急ブレーキ踏むから飛んで来ちゃったよ!下から見上げる海ちゃんのお顔も素敵だね…─余裕があれば押し戻してもらってもいいですか?挟まって動けないので…』



「下から見上げる俺の顔…大好きだもんなぁ芹は。俺も上から見下ろすお前の顔、嫌いじゃねぇよ。押し込んでやるから、いい子でベルトして乗ってろよ?あぶねーから、色んな意味で」




──色んな意味ってどーいう意味?っと、問いかけたかったけど、海吏の綺麗な顔面を近づけられて反射的に目を閉じてしまう




その直後唇に感じる柔らかい感触…ソレが海吏の唇だって分かってキュンとした時には、こじ開けられて中に舌が"押し込まれる"






噛み付くみたいに絡みついてくる海吏のいやらしい舌使いに、脳内がパンクしそうになる。これ以上は、おかしくなるっ、、

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