見世物の最強オークは人間の生活を謳歌する。

第3話「冒険者になったよ！」

「す、凄（すご）ォォォォッーーーーい！！！」

「な、なんと候補生（ルーキー）トーナメントを無双突破ッ！！

オークを使役（テイム）した幼き調教師（リトルテイマー）『ルーシィ・ペタ』！冒険者（テーカー）試験を一発合格です！！」

　どうしてこんな事になったんだ...？

――――...一日前

「まずお願い一個目！

表では私があなたを使役したって事にして！！」

「ま、まぁいいよ」

「ありがとう！じゃあお願い二個目ね！！」

　見かけによらずグイグイ来る。

「一日後の冒険者（テーカー）試験、手伝って欲しいんだ」

―――――そうして彼女は冒険者認定証（テーカーライセンス）を得た。

「すげぇあの候補生（ガキ）！！」

「いや...『ルーシィ・ペタ』！！！」

「うおおおおオオオ何だあのオークゥ！！！」

「...なァ、あのオークってよォ」

「おい今直ぐ神戦徒（ハイテーカー）を手配しろ」

　―――――上がり続けた試験会場の盛り上がりは贈許（ぞうきょ）の儀を終える事で落ち着いた。

　俺達は裏口から試験会場を後にした。

「いやぁ、無双しちゃったなぁ！」ゲヘヘ

「...おかしい、そろそろ来る筈なのに」

「え？」　ドガァッッッ！！！

　すぐ背後で爆発が起きた。

「大丈夫かルーシィ！！！」

　咄嗟にルーシィを庇った為、魔力を放出し、身体を覆い防御する暇なんて無かった。

凄くヒリヒリする。

「うん、ありがとう」

「...オークさん、伝えたい事があるの」

「なんだい？」

「―――あの爆発は魔力を帯びていた」

「あれは『炎の精霊』だよ」

「炎の精霊？」

「儀式を行う事によって力を貸してくれる神獣の一種だよ。それを使うって事は『一神教』でほぼ間違いないと思う」

「なるほど、俺を追ってきたってわけか」

「これを予測して『かかと』の人にお迎え頼んだのに、来ないって事は奴等に殺られたんだ...！！」

「かかとって？」

「　『科学解放党』略して『かかと』！！！」

　怒られてしまった。

『ブォン！ブンブンブン！！』

　この激しいマフラー音、仲間が密輸してくれた本で読んだ...―――――これはバイクだな！！？

「おーーーい！！！ルーシィィ〜〜〜！！！」

「す...『スワ』の声だ！」

「あのバイク子供（キッズ）のことか！？」

「うん！」

「オークさん！あなたの話は聞いてます！！

　さぁ乗ってください！！！」

　なんて良く出来た子......涙が出そうだ...！！！

だがこの巨体では乗れないので普通に走った。

「ここまで来たら大丈夫でしょう...！」

「一神教の奴等、普通に殺しに来たわよ...」

「なんて奴らだ＿＿＿！」

「本当ルーシィごめん！お出迎え部隊は『かかと』の実力者数名で固めてたんだけど...」

「一神教の戦闘部隊、神戦徒（ハイテーカー）が扱う精霊の物量攻撃にしてやられたってわけですね」

「なんて奴らだ＿＿＿！」

「とりあえず、一旦帰ってオークさんをアジトに隠しましょう。運用はそれから考えます」

　それからは5時間程走ったかな、道のりは非常に複雑で覚えれる気がしなかった。

がむしゃらに二人の背中を追って着いたアジトは

廃倉庫を改造した物のようだ

「通常では考えられないルートを辿るから誰にも見つからない、それがアジトなんです」

「オークさんが来る事は多分あまり無いだろうし、覚えなくてもいいですよ」

　この少年は人の心を読んでいるのかもしれない。

「とりあえず貴方と私はここで待機ね」

「僕は用事があるので出掛けます」

　[To Be Continued....]