第2話「調教師じゃん!!」

「え〜っと...ここら辺にゴブリンの目撃が...」


 ノソ...


 眠りから覚め、地割れから出ると討伐任務ハントクエスト中と思われる少女と鉢合わせた。


「あっ...」


 少女は走り出す。


「ま、待って!俺は健全なオークだヨ!!」


「語尾がカタカナなオークとか信じられませんよぉ!!!」ダッダッダッ


「分かったから待ってくれ!話だけでも!」


 と口では言いつつも、オークと人間ひとの少女では歩幅が違いすぎる為、直ぐに追いついてしまう。


「た、頼む!もう0距離だけど法律的に触れるわけにはイかないから自分で止まってくれ!!!」

ドドドドドド!!


「(語尾が戻った...そして法律を考える誠実さ...もしかしたら信用できるオークなのかも...!!!

しかし千切れた右耳を見るに何処からか脱出してきたオークなんでしょう、まさか今朝のサーカス団騒動のオークじゃあないでしょうね...)」ダッダッ


「あなた!何処から脱出してきたオークなの!!」


「そ、それは言えない!!」ドドド!


「(それなら無理にでも聞き出すか...)」

「『調教師の極意スーパーテイム』!!!」


「...ッ!!!」ザワッ...

 ―――――あれ?魔力量の割に...


「...ッ!?私の『調教師の極意スーパーテイム』は魔物全般に効く能力のはず...それこそ龍の領域レベルじゃない限り!」


「名称から察するに使役系か」

 ...俺に龍レベルの力は無い、更に魔物の一種である俺には『調教師の極意スーパーテイム』の効果範囲に居るはずだ。

―――――――どういう...事なんだ?


「あなたは何者なの?」


 一神教と言えば『ルヴリン王国』に根付く世界最大の宗教団体だ。今ごろ今朝の脱出劇は王国全土に広がっているだろうな―――――。


「......俺はオーク。名前は無いから種族名のオークを名乗っている。

 ルヴリンサーカス団の見世物としての調教生活から二年、俺はもはや心を失った商売道具と化したかのように見えた。

 しかし昨夜、初めて商売道具なかまの死を経験し、尋常では無い怒りと恐怖を引き出させた。

だから脱出したッ!!悪習に囚われるピエロとして死ぬのは嫌だったからだッッッ!!!」


 これは賭けだ。悪いが人の心を試させて貰う。


「...!!!」


...

......

.........


「(イぃ〜〜〜〜〜!!!やっちまったァ!!)」

 なんで言っちまったんだ!?いやなんで後悔してるんだ!?俺は覚悟したはずだろうッ!?

でも...でも言うのは早すぎた気がするぞォッ俺!


「色んな意味で丁度良かったぁ〜!!!」グオっ


「え?」

 え?


「私ね『一神教』と敵対してる『科学解放党』っていう組織と繋がりがあるの。

もしかしたらオークさんも匿ってくれるかも!」


「えェ!?マジで!?」

 後悔なんてしなくても良かった、思わぬ幸運だ。

 ...思えば人生いままでで 初めての幸運だったな。


「紹介して欲しい?」


「ヘッへッへッヘッ!!」ハフハフハフハフ!!


「いいよ!でもお願いを二つ聞いて欲しいの♡

(犬みたい...ある意味使役テイム成功かも)」


 [To Be Continued....]

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