見世物の最強オークは人間の生活を謳歌する。

人生ルーキー饅頭

第1話「脱出」

 俺はオーク。名前は無いから種族名オークで名乗る。

サーカス団の見世物としての調教生活から二年、俺はもはや心を失った商売道具と化した――――――かの様に思えた。

 昨夜、初めて商売道具なかまの死を経験した。

それは尋常では無い怒りと恐怖を引き出させた。


「おーい団長ォーーーッ!!!

オーク1729番が逃げ出したァーーーーーッ!!!!」


「...なんだと?」


 ドガァッッッン グッシャァッ ドォン!!!


「はァッ!はァッ!はァッ!」ド!ド!ド!


 足音と心音の区別も付かないほどに、ただひたすらに走り続けていた。


「フゥゥ!フゥゥ!フゥゥ!」


 ―――――........逃げ切ったか?

 

「フゥ...フゥ...フゥ...!」


 ここはテントを張っていた場所から二郊外は離れている...!だが俺は人気者だから血眼の追っ手が足跡を辿って一時間後にも追いついてくる。


 覚悟を決めろ...!少なくともこれは取らなければならないのだ...ッ!!


「グゥ〜〜〜ッッッヴヴグフゥ〜!!!」ブチィ!


 右耳に着いてるタグは取った.....次は焼印だ。

背中にデカデカとスタンプされた商品証明やきいんをこの焚き火で上書きする....。


 本当にそれだけで良いのか?


 妥協は許されない


 本当に経歴を隠すのであれば皮だって剥いでやッ


「お前だな?俺の商品オークは」


 ッ!?団長だ、どうしてこんなにも早いんだ!?


「...ッ!ぐ、グアァッッッ!!!」


「お前は喋れるだろう、隠してきたつもりなんだろうが、俺には紙幣の様に透けて見えるな」


 同じ部屋で飼われていた獅子ライオンの鳴き真似は当然通用しなかった。

 

「何故追いつけたのか?って顔をしているな」

「俺の団員なかまに波乗りの達人が居てな、そいつに乗せてもらったんだ。

だがおかしいな?此処ら辺は大地しか無いから波乗りなんて出来ないよな?」


「...何が言いたい」


「お前は天性の力を知っているか?」


「...は?」


「そうだな...世間は能力とでも名付けてたな」

「神が人間に与えし超常的な力だ、不思議だよな?」

「聖書での神は全ての生物が平等に生き残れるよう機能的で均整のとれたデザインを取ったらしい、

それに対し神に嫉妬する悪魔も生物を作った。

 しかし悪魔は全生物が平等に生きれる様にだとか、そういう事を考えずに滅茶苦茶に作った。

 だから現に合理的な身体の創りをしていなくて魔力を使い神の生物を喰い荒らす化け物...

『魔物』が世に蔓延ってるってわけだ」


「それが?俺がブサイクとでも言いたいのか?」


「我々サーカス団はそんな教えに従って運営している。聖書を作った一神教の傘下だからだ。」

「この世には魔物やハンデを持ち生まれた者が居る

 聖書に従って解釈するなら、そういう者達は悪魔よってに作られた、産まれる事こそが罪の者達だ」


 ―――――何故...どうしてだ?どうして俺はこんな滅茶苦茶な話を黙って聞いている?怖いのか?それとも魅入られているのか?


「俺達サーカス団はな、

そんな者達を集めて見世物にし、

罪無き人を喜ばせる事で、

罪を浄化してから死んでもらう」

「これは愛だ、焼印もタグも見ていないが、

俺はお前の顔を覚えていたから識別出来ている」


 あぁ、はっきりした。

 俺はコイツを殺したくてしょうがないんだ。

 だって、悪い奴だもんな。


「帰ってこい、また愛してやる」


「グルルオグラァァァァッッッッッッッッ!!!」


「まぁ無理だよな、能力発どっ...」ゴゴゴッ!!


ドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!


 その瞬間とき、大きな地震が起こった。

今思えば神の思し召しというやつだったのかもしれない。


「―――これは...そうか、

神はそういう未来を楽しみに思っているようだ」


 そうして俺は巨大な地割れに落ちて行った。


 [To Be Continued....]

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