第7話 勉強会
「フフフ、さてお姫様、わたくしルールシエールと」
「シーエルルーエがお姫様の家庭教師を務めますねっ」
「ええ、よろしく、昨日はありがとうね2人とも」
「いえいえむしろ私たちの方こそ楽しみですよ…フフフ」
「その通りねあなた、きっとこれからの旅路に役立つ知恵を教えてあげるわ」
「ありがとう、でもある程度知ってることもあると思うから…そうね、私が知らなさそうなこととかを教えてくれると嬉しいわ」
「フフフ…かしこまりましたお姫様」
昨日はアデムリに魔法の基礎を教えて貰いつつ実践の訓練をした、後はこの世界における基礎知識を身につけるといったところだ…とはいえこの世界の作者であるわたし、ある程度はわかるのでわかる部分は飛ばしてもらうことにする
「では早速…まずはアデムリから引き継いだ魔法の方から」
「ええ、まずやっぱり使えるようにならないといけないのは日用魔法ね、収納魔法、転移魔法、通信魔法が該当するわ」
(日用魔法…昨日までやってた攻撃魔法とは別だよね…私が知らない言葉…やっぱり現実化に伴って私の知らないことも増えてるみたい)
既に知らないことが沢山あるこの世界、見覚えはあるものの実際に知識として知っていることは少ないのかもしれない…私はノートを開いて2人の話をしっかりと書き留めていく
「これら日用魔法は魔族はもちろんニンゲンや天使も普段から使う魔法になります、以前教えたように魔法の効力はその人の持つ魔力によって増減しますから…お姫様であれば無限に近い量を収納魔法に入れたり…転移魔法で世界中どんなところにも行けたり等できるでしょうね…フフフ」
「とはいえ魔法によっては限界もあるの、例えば転移魔法なら使える魔力が大きいほど行ける範囲が広がる…でも行きたいところを思い浮かべながら使う必要があるから知らないところには行けない、お姫様なら範囲制限は無くても知らないところに突然転移とかはできないというわけね」
「…なるほど、ということはやっぱり私であってもなんでもできる訳では無いのね」
「フフフ…そうなりますね、とはいえ未知を既知へと変える旅路というのはきっと心躍るものになるでしょう…お姫様の成長が楽しみです」
「その通りね、そのためにも私達がいなくても勉強をするのに越したことはない、頑張ってちょうだいね」
ステータスが高くてもできないことはある、これから旅に出るならきっと困難にもぶつかるはずだ、その困難を乗り越えるためにも頑張らなければ…
そうして私は2人の話を聞きながらノートに記しつつ実際に収納魔法や転移魔法、通信魔法を使ってみる、日用と言うだけあって特に問題なく習得ができた
「フフフ…順調ですね、では魔法はここまでにして…次は私達魔族についてより知っていただくための勉強といきましょうか」
「その通りねあなた、きっと魔族の仲間もこれから増えていくししっかり覚えてね」
「ええ、ありがとう2人とも」
魔族とともにゆく旅路となるだろうしこれらは必須の案件だ、頑張って覚えていこう
「まず魔族全体の構造をざっくりと言いますと…魔族は主に6つの階級があり…下から下級魔族、中級魔族、上位魔族、魔将、魔王、魔神の6段階があります」
「上に行けば行くほど強大な存在になるの、魔神にもなればそれこそ世界の趨勢を握る存在にすらなるわ」
「そうなのね…その…ちなみに私はどこに存在しているのかしら…」
これも知らない内容だった、階級なんて設定した事ない…となると自然と自分がどんな位置に存在するのかが気になった
「覚醒される以前は上位魔族でしたが…今はやはり魔神に該当するかと…冒険にも出たがっていらっしゃりますから…やはり欲望も膨れ上がっているのでしょう?フフフ…」
「欲望?階級に欲望が関係あるってことかしら…」
「えぇ、まぁこれは知ってると思うけど一応…そもそも魔族というのは欲望が力になる種なの、欲望が大きければ大きいほどその力は増す…欲望を叶えることで闇魔力が生まれてその闇魔力が欲望を生み出すというサイクルね、お姫様にも心当たりがあると思うわ」
(欲望…特にこれといったものは無いような…どうなんだろう…)
「そうですね…例えば魔王様はその肩書きの通り魔王に該当される方、魔王の階級に至った方は主に己の理想を求める傾向が見られるのですよ」
「その通りねあなた、実際に魔王ヴルムス様はおのが理想である魔族の王になるという目標を達成されて今の立場にいらっしゃるの、魔神級にもなるとそれこそ世界そのものの頂点存在だとか世界を変えようとかを目指すはずね…どう?、思い当たるんじゃないかしら?」
(…なるほど…あれ…もしかして私の目標がそれに当てはまる…のかな)
世界そのものの頂点はさすがに目指してないが…世界を変えたいという思いはある…もしかして既に存在そのものが魔族になってきているのだろうか…
〖…あなたは魔族よ…ニンゲンなんて捨ててしまいなさい〗
(い、今のは一体…ダメダメ…心まで魔に染る訳にはいかないんだから)
色々思考を巡らせていた矢先まるでこちらの様子を分かっているかのように胸の奥深くから邪悪な意思が私に語りかけてくる…私はその意思を何とかして抑え込み無視をした
「…フフフ、どうやら心当たりがあるようですね、お姫様がこの世界をどのように変えていくのか…とても楽しみです…フフフ」
「その通りねあなた、きっと素敵な魔族の世界になるわ」
(魔族の世界…できればどちらも手をとりあえる世界がいいな…)
魔族側から一方的に和平条約を破棄した現状もはやお互いに滅ぼしあい弱った方を支配するという方向にしかいかない状態だ、作者である私が何とかしなければ
「フフフ…さて他にも勉強を進めるとしましょうか、魔族としての階級が上がるほど魅力も上がるのですよ、強ければ強いほど魅力的な姿に変わっていく…魔族が皆美しい容貌をしているのはそのためです」
「その通りね、放つ闇魔力にもニンゲンを堕落に誘う力がより強く含まれるようになる…きっといまのお姫様ならそれを放つだけで骨の髄まで魅了し尽くせると思うわ」
「み、魅力的…魔性の女ってやつなのかしら…嬉しいこと…なのかな?」
もちろんですともと2人は答える、確かに出会った魔族達はみな美しい姿形をしていたが…人間を魅了するためだと考えれば納得がいく…魔性の魅力という言葉もあるくらいだしそれを体現した存在なのだろう
「さて、次は歴史も学んでいきましょう、お姫様であれば魔族側の歴史は既にご存知でしょうけれどニンゲンや天界の歴史に関しては私たち堕天使に一日の長がありますから…フフフ」
そんなこんなで私は授業を受け続ける、前世の学校が思い浮かび少し寂しい気持ちになるものの大好きな自作のキャラクター達に囲まれた日々を過ごして行った
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