ドメスティック・バイオレンス・ランド

ホロホロ

プロローグという名の日常

「カーニス君」


「はい」


「なんでこうなってるか、分かるか?」


「分かりません」


「分からんかぁ。じゃあ説明しちゃる」


「遠慮しときます」


「今日俺の部屋に暗殺者がモーニングコールに来てな」


「大変でしたね」


「でも俺は美人のモーニングコール以外で起きるつもりはないやんか?だからお引き取り願ったんよ」


「クソどうでもいいですね」


「でな?帰ってもらうついでに雇い主が誰か聞いたら、面白いことが分かったんよ」


「オレじゃないですね」


「その雇い主は金髪でぇ、背が高くてぇ、イケメンでぇ、騎士団長やってるらしいん

よ」


「オレしかいませんね」


「舐めとんのか」


「痛った!ぶった!今ぶちましたね!エリロスちゃん以外からしか殴られたことない

のに!」


「人望の無さ丸出しやんけ。ていうかアホか。どこに自分とこの国王に暗殺者送り込む騎士がおんのじゃ」


「部下の弱み握ってこき使ってるパワハラ上司が何言ってんすか!」


「弱みを見せたお前が悪い」


「ひどいっ!!」


「まあでも俺は優しいからな。極刑は勘弁しちゃる」


「……パンツ一丁で磔にさせられてる今の状態方がきついんすけど。主に心が」


「俺は人の心を奪うのが得意やからなぁ。主にレディのやけど」


「オレは男なんで心返してください。あと服も返してください」


「ところで今日はめっちゃ天気いいなぁ。たまには散歩でもしよか」


「ゑ?」


「安心せぇ、俺は優しいからなぁ。可愛い部下をほっぽいて一人で行ったりせんよ」


「いや今は体調悪いんで行きたくないです」


「え、喜んでエスコートしてくれるって?さぁすがこの国一番の騎士やわぁ♡懐が深くて頼りがいがある。よっ世界一!」


「この国の騎士の称号とか不名誉でしかないですから!喜んで返上しますから!」


「えーなんでなん?今一番勢いのある国――『DVデウスウィクシルム王国』の騎士団長なんて名誉でしかないじゃろ」


「パワハラセクハラモラハラなんでもありのDV国家のどこがいいんだよ鬼畜キング!道徳学んで出直してこい!」


「ひどい言われようじゃあ、俺悲しい。しゃーない、ここは親睦を深めるためにデートと洒落込もかぁ」


「結構です!」


「そんな恥ずかしがんなや。もしかしてデートしたことなかった?デート処女?」


「デートくらいあるわ!あんたと行きたくないっつってんの!」


「王様とデートできるなんてこんな光栄なことないじゃろ。てことでしゅっぱーつ」


「あっちょ、まって!待ってください!せめて服着させt――あ゙あ゙あ゙あ゙ぁあ゙あ゙ぁぁあ゙あ゙!」

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