SNSが齎す影響と、中毒性

白鷺(楓賢)

本編 SNSが齎す影響と、中毒性

私はかつて、毎日のようにSNSを開いていました。何気ないことを発信したり、他人の投稿をひたすら眺めたり、なんとなく時間を過ごしていたのです。最初は、SNSが友達や世界と繋がれる場所だと思い込んでいました。新しい情報がどんどん流れてくる感覚や、いいねやコメントが付くことに小さな満足感を覚え、SNSに費やす時間が次第に増えていきました。しかし、ある日ふと、SNSに費やしていた時間がただの「時間の浪費」であり、何も生産的なことをしていないことに気づきました。


### SNSの情報の洪水と心無い声


SNSは便利な情報源であると同時に、膨大な情報が飛び交っています。実際には必要ない情報やデマも多く、それらに一度でも目を通すと、次から次へと他の情報も追わなければならないような錯覚に陥ってしまいます。情報の洪水の中で溺れる感覚を持ちながらも、止められないのがSNSの中毒性です。そして、SNSのもう一つの問題は、匿名性ゆえに心無い言葉が簡単に投げかけられることです。誹謗中傷や攻撃的なコメントが日常的に目に入り、それが原因で心に傷を負う人が多くいます。中には、それが原因で命を絶つ人もいるという現実を目の当たりにし、SNSが与える影響の大きさに恐怖を感じました。


日本ではSNSの誹謗中傷に対する規制強化の声も上がっていますが、実際にはその対策が十分に進んでいるとは言えません。心無い声を完全にシャットアウトすることは難しく、私もSNSを使っているうちに、何度もそういった心無い言葉に晒されることがありました。障害者としての視点で発信をしていた私に対しても、時には攻撃的なコメントが寄せられ、そのたびに気持ちが沈んでしまうことがありました。


### SNSを辞める決断


そんな中、私はある時、「ここは自分のいるべき場所ではない」と感じ始めました。どれだけ発信しても、結局満たされることはなく、むしろ心が疲れてしまうだけだと気づいたのです。そこで、思い切ってSNSを辞める決断をしました。最初は不安がありました。SNSをやめたら、世界と繋がりがなくなってしまうのではないか、情報を得る手段が限られてしまうのではないかという恐れがありました。しかし、実際に辞めてみると、得られるものの方が多かったのです。


まず、SNSを辞めたことで、執筆に費やす時間が増えました。これまで何気なくSNSを眺めていた時間を、創作や読書、他の活動に充てることができるようになったのです。また、SNSに投稿するたびに感じていたストレスが軽減され、心が少し軽くなったように感じました。SNS上での「いいね」や「コメント」に依存していた自分に気づき、それが無くなったことで、純粋に自分のやりたいことに集中できるようになったのです。


### SNSの中毒性との戦い


とはいえ、SNSを辞めた後も、その誘惑が完全に消えたわけではありません。何度も再登録をしようとする自分がいて、そのたびに葛藤がありました。SNSに戻ってしまえば、また同じように時間を無駄にしてしまうだろう、でも、もう一度やってみたらうまく使えるかもしれない――そんな思いが何度も頭をよぎりました。しかし、その度に「これは違う」と自分に言い聞かせ、SNSに戻らないように注意を払いながら少しずつ中毒から脱却していったのです。


### SNSを辞めて得たもの


SNSを辞めたことで、さまざまなメリットがありました。まず、情報収集の手段が変わりました。SNSが無くても、ニュースサイトや本、オーディオブックなど、多くの代替手段があることに気づいたのです。これらを活用することで、より深い知識を得られるようになりましたし、情報の質も向上しました。また、SNSに時間を取られない分、自分のペースで生活ができるようになり、心にゆとりができたのです。


SNSがもたらす中毒性から完全に脱却することは簡単なことではありません。しかし、SNSを断つことで自分自身を取り戻し、時間を有意義に使えるようになったことは、私にとって大きな収穫でした。SNSに依存する生活から抜け出し、自分自身の時間と心の自由を取り戻すための一歩を踏み出したのです。


### 最後に


SNSは強力なツールですが、使い方次第で人の心や生活に大きな影響を与えます。もしもSNSに振り回されていると感じることがあれば、少し距離を置いてみることをお勧めします。SNSが無くても、生活は成り立ちますし、むしろ豊かになることもあります。自分自身を見つめ直し、何が本当に大切なのかを考えることで、SNS中毒から脱却し、より良い生活を送るための道を歩むことができるでしょう。

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SNSが齎す影響と、中毒性 白鷺(楓賢) @bosanezaki92

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