第29話

洋太は眠りから覚めると慌てて立ち上がりもえみの帰りを待った


そしてそのまま時間が流れ


『腹減ったなぁ、そう言えば昨日の夜から何も食ってなかったなぁ』


するとエレベータが止まり中から人が出てきた


『も、もてうちくん?』


その言葉に反応しエレベーターの方へ目を向ける洋太


『も、もえみちゃん』


もえみにようやく会う事が出来た


もえみには何故洋太が自分の部屋の前に居るのか理由がわからず、驚いた表情で洋太に訪ねた


『もてうちくん、何で?何でここに?何時からいたの?』


洋太はちょっと待ち疲れた表情で逆にもえみに訪ねた


『もえみちゃんこそ、今まで何処で何をしてたんだよ』


『え!、あ、う、うん、あ、あたしは伸子ちゃんと』


もえみは洋太を心配させまいととっさに嘘を付くが、簡単に見破られてしまう


『嘘だよ、俺ここにきた理由、伸子ちゃんから聞いたから来たんだ』


もえみは目を背けて俯き加減に顔を逸らした


すると、全てを告白するかのように穏やかにゆっくりと話し出した


『ごめんなさい、私本当はさっきまで病院に居たの』


もえみの真実の告白に驚きを隠せなかった


『え!?病院??何で?もえみちゃん何処か悪いの?』


もえみは洋太の目を見つめ優しい目で答えた


『これ以上隠しきれないから、もてうちくん、もう全部言うね』


もえみの真剣な眼差しに少し息を呑む洋太


だが、周りの人達に気付いたもえみは


『あ、それよりも此処だと他人(ひと)が気になるから中に入って』


そう言ってもえみはカバンから鍵を取り出しドアを開け二人は部屋の中へ入った

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