第16話

もえみが診察室に行った後伸子はその落としモノに気付き拾う


伸子は友達の付き添いで病院に来たのだが


『ご、ごめね優華、私まだちょっと用事があるから、一人で帰れないかな?』


『うん、いいよ私の用事は済んだから、後は帰るだけだし』


『ごめんね本当、今度また埋め合わせするよ』


『いいよ、そんなの、じゃあまた明日学校で』


伸子は友達と別れてもえみが診察室から出て来るのを待っていた(待つ事約1時間)



『どうも、お大事に』


『ありがとうございました』


もえみは丁寧に挨拶をしながら診察室から出て来た


『先輩』


伸子がもえみを呼び止めた


『え!伸子ちゃん待っててくれたの?』


少し驚いた表情で目を見開いた


伸子はもえみの母子手帳を片手に持ちながら笑顔でもえみに近付いた


『先輩の大事な物ですよね、コレ』


もえみは知られたくない事を知られたショックと、その大切なモノ(母子手帳)を落とした自分に愕然としながら隠すのを諦めた


『あ、ありがとう』


まだ素直に打ち明ける心の覚悟がない為、弱弱しい声で答えた


しかしまだその(母子手帳)の事情まで知らない伸子は明るく声を掛けた



『早川先輩おめでただったんですね、おめでとうございます』


しかしもえみは秘密を他人に知られた事と、その内容の深刻さが重なり表情が曇る


勿論その表情に気付かない伸子ではなかった、少し勝気な性格の伸子は真相をもえみに問い詰めた

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