第3話

食事を終えた二人は再び街の中へ



『さっきはびっくりしたなぁ、な、洋太』


両手を首の後ろで組みながら顔を上向き加減で話し出した


『え?、あ、ああ、そうだな』


突然話を振られ少し動揺気味に返事を返す


『あんなとこで働いてたんだ』


『そうだね、もえみちゃん一人で頑張ってるんだ』


『じゃあ、俺達も頑張らないとな』


そう言ってあいはニッコリと笑顔で洋太の背中を軽く叩いた


二人はいつものようにデートをしながら家に帰った



家に帰ると早速留守電が点滅していたが、皮肉にもその留守電を聞いたのはあいだった


『ピーッ、もえみです、また電話します』


『?何だ?何で今頃もえみちゃんが?』


少し不思議そうにその伝言を聞きながら、あいの心のプログラムの中にまたひとつ新しい感情が芽生え始めていた『独占欲』


(何だ、何で今頃洋太に電話を?洋太はもうオレの洋太なんだもえみには関係ないよな)


そう心の中で呟いていた


『あいちゃん?どうかしたの?』


電話の前で難しそうな表情のあいに軽く声を掛けた


『ん、あ、いや、何にもないよ、本当』


少し動揺気味にその場を取り繕うあい


『おかしなあいちゃんだな』


すると突然あいは洋太に抱きついた


『洋太、おれ、ヨータしか見てないから、おれここにいる(存在)以外考えられないから』


洋太の胸の中でシリアスな表情で甘えるあい


『ど、どうしたんだよあいちゃん、大丈夫俺もあいちゃん以外誰も必要としないよ』


優しく包み込むように抱きしめる洋太


『うん』


少し涙を堪えながら洋太の胸の中でうずくまるあい


しばらく沈黙の時間(とき)が続く


『あ、そういや、あの作品仕上げないと、締め切りに間に合わなくなっちゃう』


突然仕事の事を思い出し、慌てて仕事部屋に向かう洋太


『よし、じゃあおれも手伝うよ、色塗りやればいいだろ』


洋太を追うようにしてあいもまた仕事部屋に向かった


『うん、あいちゃんお願い、今日は徹夜だな』

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