第3話 初料理

さて、無人島人生初の料理はカニ!


島流し前であれば、高級すぎて手の届かなかった存在が目の前にごろごろいる。


なんて絶景か。


こんなごろごろいるのに、なぜあんなに高級だったのか、謎である。


需要がある分、余計に値段が吊り上がっているのだろうなあ。


無人島において、需要も供給もへったくれもないがな。


だって、俺一人なんだもの。


一人って最高!!!


そうして、俺はカニを獲り、さっそく火であぶった。


おお、あぶる前は茶色だったが、あぶったら次第に赤色になった。


これだよこれ、赤く染まったカニの甲羅。


よだれが止まらない。


よし、良く焼けたな。


俺はそこらへんにあった岩でカニの甲羅をかち割る。


バキッ!!!


カニの甲羅の中にはぶりんぶりんのカニ身がたっぷり詰まっている。


「いただきます。」


はふはふはふ。


うますぎる!!!


カニ味噌と一緒にいただいちゃったりして。


うんまーーーーい!!!


カニ味噌の風味がいいアクセントになって、調味料のない無人島では最高の味付けとなった。


お次は、カニを茹でよう!


焚火でカニを茹でるための鍋がないが、空き缶がある。これを鍋代わりにしようと思いついた。


俺は、早く食べたくて仕方がなく、傍にくべてある薪をくべ、焚火の火力を上げた。


そして、空き缶の中にカニを入れ、火にかける。


待っている間、だんだんとカニが赤くなり、いい香りがし始める。


香りだけでよだれが止まらない。


おー、カニが真っ赤に染まったら、カニをかち割って、カニ味噌を取り出す。


カニ味噌を空き缶の中でお湯と一緒にといて、カニ味噌汁の完成!!!


ズズズ・・・。


うまい!


カニのエキスが味噌汁に溶け込んでいる。


口の中でカニが爆発している感覚だ。


いやあ、食った食った。


俺はカニの甲羅を焚火に投げ入れ、「ごちそうさま。」と言った。


さて、腹ごしらえも済んだし、今後やることでも考えようか。


俺はやるべきことを考えた。


まず、石のナイフの製作だ。


海岸の石を適当に砕いて、切れ味のよさそうなかけらをナイフの刃とする。


今後、色々な道具や家具などをつくるのに必須となるだろう。


次に、木の手モリの製作。


石のナイフで木の棒の先端を削り、尖らせる。


魚は重要なたんぱく源。タンパク質は重要なエネルギーだ。


カニだけでは量も足りないし、栄養も偏ってしまうだろう。


家具などの製作はそれからだろうな。


まずはベッドが欲しいし、棚も欲しいな。


というか、その前に服か。


すべてもろ出しでは、陰部などが植物でかぶれてしまう。


さて、俺はもうすでに火と拠点、水に食糧を確保できた。


もうこの島を攻略したといっても過言ではないだろう。


しかし、俺は島暮らしを少し甘く見ていた・・・。


その夜、大雨が降ったのだ。


スコールだ。


大雨により、気温はぐんと下がった。


素っ裸の俺にとって、この夜は地獄だった。


火はあるものの、それだけではまったく足りないほど寒かった。


至急、服が必要だ。


それも、草で作ったような簡易なものではない。


動物の毛皮でつくった服だ。


この寒暖差から見ても、この島は南国らしい。


ゲリラ豪雨がしょっちゅうあるのだろう。


服は必須だ。


俺は全身をできるだけ焚火に近付け、難を逃れるほかなかった・・・。


翌朝。


俺はどうやら風邪を引いてしまったらしい・・・。


完全に島を舐めていた。


まだまだ生活基盤が整っておらず、俺の命は自然の気分でどうにでも転びそうだ、ということが身にしみてわかった。


しかし、ここは間違いなく俺にとって天国だ。


この島は絶対に攻略してやる、そう胸に誓ったのであった。



==== 作者あとがき ====


次回、風邪との対決!


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