スカベンジャー

裏 鬼十郎

第1話

花を摘んだんだ。そうしたら、最期の抵抗みたいに指に緑の液が付いた。

俺たちは、毎日何かを食べて生きてる。何かを食べるということは、何かを殺すことだ。

気分を良くするためだけに、人は花を摘むだろう?ならば、なぜ生きて金を稼いで生きていくのは悪いことで、花を摘むことはそうではないんだろう。そう考えたから、俺は殺し屋になった。

ただ殺すのでは、生命に失礼だ。ただ殺すのでは、摘んだ花をポイと捨てるのとかわりない。だから、俺は殺した相手の全てを使う。原始の民族のように。肉を喰らい、皮を鞣し、骨を組み、自分の手に負えないものは、専門家に流す。それが俺の獲物への追悼であり、礼儀だ。

骨も残さないやり方から、スカベンジャー何て呼ばれてる。

だから、大丈夫だ。お前さんも全て使ってやる。いっぺんの欠片も余さないと誓う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

スカベンジャー 裏 鬼十郎 @uotokaitesakana

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る