第2話 人類の繁栄にとって男は不要だった
僕が性別を偽って学校に通っている理由は僕の人生を、あるいは人類の歴史を話さなければならない。
僕が周りの人たちとは違うと気づき始めたのはいつのころだったか。確か小学生になるころには自覚し始めていたように思う。
なんて、こんな言い方をしてしまうと僕が周りの人間とは違う特別な存在だと勘違いしているやばい奴だと思われるかもしれないが、別に僕は僕が特別などとは思ってない。ただ、客観的事実として僕はこの世界で異質なのだ。異物といってもいいかもしれない。なぜなら僕は男だからだ。
男児の出生率の低下は400年前から始まった。原因は未だにわかっていない。世界同時多発的に起こったこの不可思議な現象はまさしく神のいたずらとしか言えないものだったらしい。今や男児の出生率は1000万に1だ。しかし、
男がいないならば女同士で子供を作れるようにすればいい。
なんて単純明快かつ効果的な解決策だろうか。当時の医者さまさまだ。もちろん最初は抵抗があったらしい。しかし、4世紀という年月は社会の価値観を変えるのには十分すぎた。
女性同士での恋愛、結婚は当たり前で、妊娠の方法は体外受精が普通となり性交渉はただ愛を確かめあう儀式と化した。そして、現代においては男の存在は無価値なものと成り果てたのだ。
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