第50話
「クゥ!」「アウ!」「……!」
「やっぱウル達強いな。あと、エメラのスキルにあった支配ってそういうことか」
ブラウンピューマとアサシン狐が同時に襲いかかってきた時、俺はブラウンピューマの相手をして、アサシン狐はウル達にお願いした。
そして俺は一足先にブラウンピューマを倒したのでウル達の戦いを見ていたのだが、エメラがウルとルリに何か指示を出しているように見え、とても連携が上手で外から見ていると熟練のパーティーの戦い方のように見えた。
「俺もエメラの恩恵を受けられるのか?」
「(ふるふるっ)」
「駄目か」
どうやら俺とはまだ実力差のようなものがあるのか、そもそもエメラが俺には支配スキルが必要ないと思っているのか、俺が支配スキルの効果を感じることができるのはまだ先になりそうだ。
「よし、依頼はもう全部達成したな」
まだ2時間程しか経ってないが、逆に言うと2時間近くほぼ動きっぱなしでモンスターを狩り続けたのは良かった。
そしてその結果としてレベルも少し上がった。
名前:ユーマ
レベル:20
職業:中級テイマー
所属ギルド :魔獣、冒険者
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ、エメラ
スキル:鑑定、生活魔法、インベントリ、『中級テイマー』、『片手剣術』
装備品:四王の片手剣、四王の鎧、四王の小手(暗闇の照明)、四王のズボン、四王の靴、幸運の指輪(ビッグ・クイーンビー)
中級テイマー:魔獣ステータス強化1、魔獣スキル強化1、魔獣ヒール、『テイマー』
名前:ウル
レベル:20
種族:ホワイトウルフ
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ、エメラ
スキル:勤勉、成長、インベントリ、『ホワイトウルフ』『氷魔法』
装備品:黒の首輪(魔獣)
名前:ルリ
レベル:20
種族:巨人
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ、エメラ
スキル:忍耐、超回復、成長、インベントリ、『巨人2』
装備品:黒の腕輪(魔獣)
巨人2:ウェポンスロット1、シールドスロット1、敵視上昇、『巨人』
名前:エメラ
レベル:20
種族:樹の精霊
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ、エメラ
スキル:支配、成長、インベントリ、『樹の精霊』『樹魔法』
装備品:黒のチョーカー(魔獣)
俺とルリが20レベルになったことで、スキルが変わった。
俺は中級テイマーになり、より魔獣達をサポートするスキルが増えた。
世のテイマーたちはあまり俺みたいに前で戦ったりしないんだろうな。
そしてルリだが、種族は変わらずにスキルだけが強化された。
おそらく元々種族:巨人の部分は変わらないのだろう。ただ新しいスキルの内容的に身体は成長していた気がするので、魔獣用アイテムの変わらない道が間に合ってよかった。
「ていうか、ルリは武器と盾持てるようになるのか」
「アウ!」
まぁ成長しないので身体は小さいままだが、これは面白いことになってきたな。
もし他の魔獣にも装備が付けられるようになれば、今よりもっと強くなる。
「よし、じゃあ一旦南の街に戻って、そのままダンジョンに行こう」
「クゥ!」「アウ!」「……!」
「ユーマさんどうですか?」
「いや、俺達は遠慮しときます」
「えぇ、あたしらと一緒に行こうよ」
冒険者ギルドで依頼達成の報告をし、ダンジョンに向かっていたのだが、途中でミカさんとくるみさんに出会って、一緒にダンジョンに行かないかと誘われている。
「こら、ユーマさんに迷惑かけないの。じゃあまた機会があればお願いします。行くよくるみ!」
「えぇ、せっかくあたしらの実力を見せれるチャンスだったのに〜」
ミカさんがくるみさんを引っ張っていってくれたので助かった。
「俺もこのレベル上げが終われば、少しならついて行ってもいいと思うんだけど。タイミングが悪かった」
あのくるみさんの発言から感じられる自信は、相当レベルが高いってことだろうし、ちょっともったいないことしたかな。
「まぁいいや。もう1回確認ね。10階層くらいまでは敵はほぼ無視で階段を探すことだけ考えていこう」
「クゥ」「アウ」「(コクッ)」
「で、相手のレベルが高くて倒せなくなったら戻って、また潜る。で、倒しまくる。以上!」
「クゥ!」「アウ!」「(コクッ)」
こうして俺達はダンジョンに潜り、最初は13階層の敵を倒すのに時間がかかりすぎると判断し、1回出て11・12階層の敵をひたすら倒し続けてレベルを上げた。
そしてまた下の階層に挑んで出てまた潜り、少しずつ少しずつ下の階層に進んでいくということを繰り返した。
「まぁこんなもんだろ。ダンジョン産の装備も全部商人ギルドで売ろうかな」
名前:ユーマ
レベル:23
職業:中級テイマー
所属ギルド :魔獣、冒険者
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ、エメラ
スキル:鑑定、生活魔法、インベントリ、『中級テイマー』、『短剣術』、『片手剣術』、『料理術』
装備品:四王の片手剣、四王の鎧、四王の小手(暗闇の照明)、四王のズボン、四王の靴、幸運の指輪(ビッグ・クイーンビー)
名前:ウル
レベル:23
種族:ホワイトウルフ
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ、エメラ
スキル:勤勉、成長、インベントリ、『ホワイトウルフ』『氷魔法』
装備品:黒の首輪(魔獣)
名前:ルリ
レベル:23
種族:巨人
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ、エメラ
スキル:忍耐、超回復、成長、インベントリ、『巨人2』
装備品:黒の腕輪(魔獣)
名前:エメラ
レベル:23
種族:樹の精霊
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ、エメラ
スキル:支配、成長、インベントリ、『樹の精霊』『樹魔法』
装備品:黒のチョーカー(魔獣)
今日起きてからモンスターをずっと狩り続けたが、最初は俺が1人で突っ込んでモンスターを倒すのが1番効率が良かった。どうしてもウル達と合わせる時間が必要だから、みんなで戦おうとすると
その分ゆっくり動かなければならない。
しかし、ダンジョンに潜り直した2回目くらいから、ウル達が俺の動きに少しついてくるようになった。
「ウル達はどこまで成長するんだ?」
全員スキルに成長ってのはついてるが、ここまでになるとは思わなかった。
「分かってるのかな? 自分で言うのもなんだが
、俺に合わせられるって結構すごいんだぞ?」
「クァウァゥ?」
立ち止まってウルのほっぺたを引っ張って遊ぶ。
「アウアウ!」「……!!」
ルリとエメラも遊びに加わりたいのか、体を押し付けてくる。
「ちょっと最初の目標だった25レベルにはなれなかったけど、一旦レベル上げは終わろっか」
レベルを上げて少し最前線攻略組に追いつけたという安心感と、ウル達の戦闘技術の上がり方が予想以上すぎて、もうがむしゃらにモンスターを倒しまくるレベル上げは必要ないと感じた。
いや、魔獣達が俺にそう感じさせてくれた。
「定期的にレベル上げは楽しみながらやろっか」
「クゥ!」「アウアウアウ!」「……!!!」
ご機嫌なウルと、まだ構ってあげれてないルリとエメラがご機嫌斜めなので、皆の頭を撫でながら南の街のクリスタルに向かうのだった。
「どうだ? 機嫌直してくれたか?」
「アウアウ!」「……!(ふるふるっ)」
「あら、何か機嫌を損ねるようなことをしたのですか?」
今は初めの街のベラさんの店の前に居て、3つずつ魔獣達にデザートを買ったあと、ルリとエメラに俺が食べさせていた。
「ウルもちゃっかり混ざってくるなよ。ウルは俺の味方じゃないのか?」
「クゥ!」
皆の選んだデザートを俺が一口ずつ魔獣達の口まで運ぶ。
「ふふっ、これじゃあ立場が逆ですね」
「流石にこの3人に対して召使い1人は激務ですよ」
例のごとくベラさんは俺が店でケーキを買ってお会計をする頃には店の中に現れ、いつも通り一緒におやつを食べて雑談をしている。
「そうだ、この前ベラさんにもマウンテンモウのこと話したと思うんですけど、今マウンテンモウのミルクでアイスを作ってまして、アイス用のカップとかって作ってくれるところあります?」
「そうですね。直接ご紹介することは出来ませんが、こちらから注文しておくことは可能ですよ」
「じゃあちょっとお願いしたいです。1回で食べ切れるくらいの小さいものと、大きい箱型の物があると嬉しいです。小さい方は使い捨てで、大きい方は何度も繰り返し使えると助かります」
「分かりました。では注文しておきますね」
その後もベラさんと話しながら、俺は魔獣達にデザートを食べさせるのだった。
「あら、どうしたのかしら」
「ユーマ様はじめまして。ベラ様を小さい頃からお世話しております、シュガーと申します」
「はじめまして、ユーマです」
「爺や、何か急ぎのことですか?」
「はい、少しご相談がありまして……」
少しシュガーさんとベラさんは離れたところで話をしている。
いつもにこやかなベラさんしか見たことがないので、真剣な表情で話しているのを見ると、少し不安な気持ちになる。
「爺や、ありがとう。ユーマ様、少しご相談したいことがありまして……」
「ははっ、いや、すみません」
「? 私何かおかしいことでもしたでしょうか?」
「いや、シュガーさんがベラさんを小さい頃からお世話してたって言った通り、今のベラさんはさっきのシュガーさんの口調とほぼ同じだったので」
そう言うとベラさんが顔を赤くしてしまった。
「ユーマ様、ベラ様と私はやはり似ておりますよね」
「爺や!」
「失礼いたしました、どうぞお話の続きを」
シュガーさんは女性っぽい動きをしてベラさんの真似をしたが、それにベラさんは怒ってしまった。
「もう、早速本題に入らせていただきます。現在はじめの街で起きている食料不足の問題です。私達が予想していた以上にこの街での食料の消費、特に嗜好品の消費が激しく、他の街から送られてくるまで持ちそうにないというのが現状です。そして……」
ベラさんの話としては、プレイヤー達の半分以上が他の街に行ったので、これから第二の抽選に当たったプレイヤー達がこの世界に来るまでの少しの間は、はじめの街の食料消費は少なくなると予想していたらしい。
しかし実際は他の街でお金を稼ぎ、この街で食べ物を買うという状況に。
「確かにプレイヤーはクリスタルを行き来できるので、どこの街でもあまり変わりないですからね。行き慣れたはじめの街のお店に買いに行くのは仕方がないかな」
「プレイヤー様であるユーマ様に少し意見を聞きたいと思いまして、どうでしょうか?」
まぁこの世界の人達は運搬にも時間を使うし、プレイヤーの俺達でも世界のルールに触れるような事は出来ない。
例えば配達依頼もインベントリに入れられるものと、そうでないものがあるのは、この世界の物流がプレイヤーによって壊されないためだろう。
「そうですね。今俺の住んでる北の街って、すごく食べ物が溢れてるんですよ。多分この街にも北の街の食材はいっぱい使われてると思います。ただ、北の街には全然プレイヤーを見かけなくて、最近少し会うかな? って思い始めたくらいです。なので、北の街にどうにかプレイヤーを集めるのは今の状況を解決する1つの案かもしれないですね。食事をするなら北の街! とか書いた紙貼って回るとか? 俺はこれくらいしか思いつきませんね」
「いえ、ありがとうございます。少し考えてみますね」
シュガーさんとベラさんはそのまま今この街が抱えている問題についての話し合いをしながら去っていった。
「分かってたけど、ベラさんも凄い人だよな」
「クゥ!」「アウ!」「……!」
「ありがとう」
魔獣達は俺のことも凄いぞ! と言うように輝かせた目を向けてくれる。
「そろそろ家に戻るか」
ずっと明るいので時間の感覚がなくなるが、水やりやミルクを絞る時間も迫ってきたので、一度家に戻ることにした。
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最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした 水の入ったペットボトル @tongariboshi
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