第8話

俺は携帯の時計を見て今の時刻を確認する


19時か……


今日が終わるまでまだ時間がある


今から家に押しかけて迷惑じゃねぇかな


でも早くまた皆と集まりたい


その気持ちが抑えられず


俺はダッシュでとある人の家に向かう




俺が次に会いに行ったのは河合葵だ


今、そいつの家の前にいるんだけど


俺の心臓はバクバクしている。それは走ってここまで


来たからなのか、それとも久々に顔を見るから


緊張しているのか、、




チャイムを押す、、、ピンポーン………


聞き慣れた懐かしい声が聞こえた


「はい、どちらさまですか?」




「俺だけど…」その一言で向こうもチャイムを押した


声の主にすぐ気づいたようで


玄関の鍵を開ける音がした




ガチャ…… 玄関のドアが開く、、


目の前には1年ぶりに見る懐かしい顔。




葵「どうしたの?」




晃「突然ごめん…話したいことがあって…」




葵「家あがる?


  まだパパとママ帰ってきてないしさ。


  外で話すのもなんだし」




晃「あ…じゃ、おじゃまします」


俺は靴を脱いで部屋の中へと入る






話すのは1年ぶりなのに


1年前と変わらない声色で話してくれる


美咲も、龍一もそうだった…


まるであの時から時間が経ってないみたいに…




俺はなんだか泣きそうになったが


必死でこらえ葵に話しかける




晃「葵の親、相変わらず


  忙しいの?」




葵「まぁね!科学者だから仕方ないよ」


そう言ってパソコンがある方へ向かう


パソコンで何かやっていたみたいだった




俺はその画面を覗き込んだ


晃「ゲーム?… ゲーム作ってんのか?」




俺の質問に「そうだよ!すごいでしょ?」と


得意げに葵は言う


葵はパソコンが得意だ


ハッキングして悪い奴らの情報を集めるのは


葵の役割だった




葵「ヒーロー辞めてから退屈でさぁ、


  ゲーム作り初めたら、はまっちゃって。


  すっごい、楽しいんだよ?」


葵の顔はとても楽しそう。仲間が楽しそうに


笑っている顔を見るのは自分自身まで


笑顔になれるから好きだ


そういえば、と思い出したように「話ってなんだっけ?」と葵は俺に聞いた




晃「何で普通に話してくれるの?」




葵「え?普通じゃだめだった?」




晃「いや、そうじゃなくて…」




葵「だってあたしたち仲間だよね?


  あたしたちの絆って


  あの一瞬で簡単に壊れるような脆いものだった?


  そりゃあ、会うのは1年ぶりかも


  しれないけどさ、あたしは晃が元気で


  いてくれたら、それでいいなぁって…」




その後に続けて「皆そう思ってるよ!」とそう言った




晃「皆?」俺が聞き返すと




葵「あたしたち、実は連絡取り合ってたの!


  高校は皆、別々だけど


  晃がまた会いに来てくれるの待ってたんだよ?


  晃が会いに来てくれたときが


  また皆で集まるときだね!って


  連絡しあってて」




晃「だけど、楓はヒーローに戻りたいか


  自分でもよく分かんないって言ってて…」




葵「それは晃の気持ちを引き出すためだよ!」




晃「俺の気持ち?」




葵「晃の本心!ヒーローに対して


  本当はどう思ってるかってこと!」






「ありがとう。会いに来てくれて」


葵のその言葉に俺の涙腺は完全に崩壊した

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る