第5話

ブランコに揺られながら「仮面まだ持ってたんだな」


俺はそう楓に聞いた




楓「うん、まぁね。


  晃は?捨てちゃった?」




晃「ばかッ、捨てられるわけねーだろ。


  机の引き出しん中に入ってる」




楓「なーんだ。晃もまだ持ってるんじゃん!」


楓はなぜか嬉しそう




晃「いつも鞄の中に入れて持ち歩いてんのか?」




楓「まぁね!癖なのかも!


  あの頃はいつでも戦えるように


  鞄に仮面と変装用の服入れてたでしょ?みんな」




晃「そうだな」


みんなで仮面と変装用の服どれにしようか


選んだんだっけな


これは似合わないとか、こっちの方が似合うとか


延々そのことを話してて…




楓「さっきはさ、ヒーローに戻りたいか


  分かんないって言ったけど、


  やっぱ未練あるのかも…


  毎日鞄に仮面入れて持ち歩くって


  そういうことなのかな?」




楓は俺に聞いてきたが、俺にだって分からない








晃、楓「あのさ…」


ちょうど俺達2人の声が重なった




晃「どうした?」




楓「そっちから先に言いなよ。


  あたしは後でいいから」




そう言われた俺は一呼吸してから


「俺達、あの頃みたいにはもう戻れないのかな」


そう言った。




楓はびっくりした顔で俺を見る




なんだよ…そんな驚くなよ…




そんな言葉を言われるとは思っていなかったから驚いたんじゃない


楓もまた同じことを言おうとしていたから驚いたのだ




楓「あたしも同じこと言おうとした」




晃「え?」




楓「先に言われちゃった」


楓は微笑み、続けて「戻ろうよ!戻れるよきっと!


だってあたし達仲間でしょ?」そう言った




晃「戻りたいけど…でも…」


戻りたい…だけどどうすればいいかなんて


分からない…


そもそも離れ離れになったのは俺が原因なのに


戻りたいなんて言う資格俺にあるのか?…






楓「晃から一歩踏み出す時なんじゃない?」




晃「一歩踏み出す…」




楓「一歩踏み出せば世界は変わる。


  一番最初に晃が教えてくれたことだよ?」






〜〜〜〜〜〜


秘密基地を作ってる最中、俺はみんなに


こう言った


「俺達、ヒーローにならないか?」




「ヒーロー?」みんなきょとんとしている




晃「そうだ!ヒーローだ!


  俺達でたくさんの人を救うんだ!」




「何それ、なんかかっこいい」


「あたし賛成!」 「俺も賛成!」「よし、やるか!」


「みんなで救おう!」




晃「一歩踏み出すだけで世界は変わるんだ!」




ブレスレットをはめた右手をそれぞれ前に出し、俺達はグータッチをした


それが俺達ヒーローの誕生である

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