第32話 お茶だし

うちは自営業なので、お客さん、業者さん、父の友人などいろいろな方がみえる


母から、お茶の入れ方を教えられた


急須に茶葉を入れる量

ひとつの茶碗に一気に入れるのではなく、全部の茶碗に味が均等になるように回して入れるよう言われた


そして、夫婦のお客さんがみえた


『行ってきなさい』母から言われた


ポットからお湯を入れ言われた通りに回しながらお茶を入れお盆に置き、茶托と茶碗を出し『どうぞ』と言った


お茶を入れる様子を見ていたようで

『小さいのに偉いわね~、さすが育て方が良いわね』とお褒めの言葉をいただいた


初めて褒められてとてもうれしかった


それから私は来るお客さん、お客さんにお茶を入れるようになった

褒められたかったからだ


でも、気が付いた

これは私が偉いのでもすごいのでもない

親のエゴだと


自分たちが称賛されたかったから


その頃から、HSP気質がひどくなっていたような気がする

お客さんが来ているのにお茶を出さないのは気が利かない娘だと思われることが怖くて怖くて常に気にするようになった

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