EP.2『聖憐学園・普通科』

 雨宮という家は、この広い屋敷からも分かるようにそこそこの力を持った階級の家である。


 そこそことは評したが、金回りという点に関してはかなりのモノ。この一般にある一軒家の四倍はありそうなだだっ広い屋敷ですら別館であり、本館の方はさらに一回り二回りも大きい。

 聖憐学園の敷地から、難波臨界緑地公園を挟んで対面側。さも緑地の一角であるかのような顔をしているが、この竹林で囲まれた一角は完全な雨宮家の私有地となっている。


 ――そんなコトを他人事のように認識しているのは、愁自身がこの雨宮家にとっては異物でしかない存在だから、というのが要因だ。


 雨宮愁という人間は、雨宮家が引き取った養子になる。などといえば聞こえはいいが、遠い血筋ながら国でも有数の力を持つ大家から、半ば厄介払いする形で押し付けられた託児なのだ。

 愁の何がその家の気に障ったのかは知る由もないが、とはいえ腐ってもそんな有力家系の末子。比較的力を持たない雨宮の家としては、下手に触れられない爆弾を持たされているような心地なのだろう。


 結果『好きに使うように』と、この別館丸ごと一つと専属の従者である那月、加えて屋敷の雑務をこなすため雇われた用務員十数人を押し付けられ、愁は実質的に雨宮の家とは隔離された生活を送っていた。


「忘れ物、ございませんか?何かあるようでしたらお持ちしますけれど」


「大丈夫です。言ってた通り、帰りは少し遅くなるかもしれません」


「はい、承知していますよ。あまり遅くなるようでしたら迎えを出しますので、ご一報下さいね」


 ひらひらと手を振って送り出してくれる那月に会釈を返して、無駄に広い庭から表通りへと抜ける。雨宮家は本館と別館共に緑地と隣接、ないし融合している都合、外側から見れば生い茂る自然に隠されて殆どその全貌が確認できない。必然、少し歩けばすぐに通学路という訳にもいかなかった。

 少し歩けば日課でも通る一般開放のランニングコースもあるが、そこから続いているのは普段は閉鎖されている学園の裏手口。

 トレイルロードを通ってショートカットすることも出来ないではないが、登校前にそんな凹凸の激しい道をわざわざ歩くのも流石に手間だ。大人しく緑地から公道へと遠回りで抜けて、住宅街の中を通る通学路へと合流してしまう。


「ってあれ、ユズ?」


「……!」


 つい数十分前に別れたばかりの少女の姿にポツリと溢せば、金色の瞳が慌てたように視線を向けてくる。朝に出会うのは互いの日課の噛み合いでほぼ毎日だが、通学中にまで出会う事は稀だ。

 生真面目な彼女の事だから、てっきりもう少し早い時間に出ているのだと思っていたが、意外とそんな事もないのだろうか。


「や、さっきぶり」


「……家、確か緑地の方だよね。わざわざ住宅街こっちまで?」


「方角的に通り辛いんだ。一度出てきた方が楽でね」


 怪訝な顔で投げかけられた疑問に答えれば、ジトっとしたどこか呆れ混じりの視線が帰ってくる。そんな顔をされたって面倒なものは面倒だし、今でこそ外界が秋なのでさほど影響はないが、夏や冬の時のあの中は季節感がバグっているので寒暖差に困るのだ。

 お小言の一つくらいは頂くものかと観念はしていたが、彼女は特に何を言う訳でもなく愁が隣に辿り着くのを待ってから歩き始める。意外な対応に内心驚いていると、彼女はポツリと覚えのない話を切り出した。


「……雨宮くん。例の話、聞いてる?」


「例の話?」


「大陸から無理やり渡ってきたっていう製鉄師ブラッドスミスの話……普通科の方だと、あんまりそういう話共有されない?」


「そりゃ製鉄師科に比べるとね。僕らにその話されたって、一体どうしろって話だし」


 ――聖憐学園は、いわゆる『製鉄師養成学園』という分類に当たる。全国で九ヶ所存在する、製鉄師ブラッドスミス魔女アールヴァ、或いは魔鉄を加工する事を専門にする鍛治職人……いわゆる『魔鉄加工技師ドヴェルグ』を育成する為の、国から正式な認可を受けた学び舎。

 とはいえ、あくまでその本質は学び舎である以上は聖学園にも一般向けの窓口、つまるところ普通科が存在している。愁が通っているのはそちら側だ。


「小型ボートで海上から日本に近づいて、哨戒中の製鉄師の警告も無視したから迎撃されたって。ただ、搭乗者は直前で脱出してたらしいの。反応は追えなかったけど、鉄脈術によっては充分に上陸圏内だって言ってた」


「そりゃ怖い話だ。関西近辺でって話だろ?」


「……推定上陸位置は京都。昨日の朝方の事だから、関西近辺にまだ潜伏している可能性もある……活動許可を得ている製鉄師は、必要に応じて対応するように、って」


 つまるところ、プロ・ブラッドスミスとしての資格を得ている者は密入国者の排除に協力するように、という話だ。聖憐学園は中高一貫校、六年という期間を経れば、中には学生ながらプロ・ブラッドスミスとしての資格を取得している者も一定数居る。

 例えばそれは、眼前の彼女。雛崎ユズは高校一年生でありながら、既にプロとしての活動資格を得ている稀有な例だ。


 実際、先達の製鉄師とのチームアップを組んだ上ではあるが、既に非公認製鉄師による犯罪の検挙にも成功している。一学期に起こった『事件』ほどの事はそうそう無いだろうが、いずれ大きな功績の一つや二つは打ち立てられるだろう。


「それを仕事にしてる人に言うのも変な話だけど、無理はしないでくれよ。顔見知りに不幸が、なんて事態は流石に堪える」


「……大丈夫。流石に安全ラインくらいは見極められるようにしてるし……最悪の場合でも、ね」


「……そりゃそうか」


 察してほしい、とばかりに苦笑するユズの表情で、その思惑通り彼女の言わんとしている事はすぐに推し量る事ができた。


 聖憐に於いて製鉄師としての活動資格を認可されても、すぐに単独での任が下される訳ではない。基本的には既に活動を開始して長い製鉄師ペアとチームを組み、任務に慣れるまではその補助を受けることになる。

 彼女らのペアも大概だが、彼女らの監督役を担う三年生は流石に別格だ。その二人ですらどうにもならない相手だというなら、それこそ誇張抜きで国家間戦争の域。冗談にもならない。


 朝っぱらから雑談で話すには重い内容だったかと自省して、明るい話題に関する心当たりを手繰る。


「そういえばそろそろ聖憐祭だけど、クラスの出し物は何になった?」


「…………笑わない?」


「え、出し物聞いてそのワード出る事ある?」


 話題転換がてら軽い気持ちで聞いてみれば想定外の返答が返ってきたので、つい反射でツッコんでしまう。てっきり普通に答えるものか、せいぜいが希望通りにならなかった出し物への愚痴が返ってくる程度のモノだと考えていたのだが。

 頭の上にクエスチョンマークが浮かぶばかりだが、気を紛らわすように肩ほどまでの毛先を弄っていた彼女は、やがて決心がついたようにポツリと呟いた。


「…………メイド、喫茶。その、勢いで押し切られて」


「あぁ、そういう……」


 聖憐祭、まあつまるところ聖憐に於ける文化祭の事だが、特殊な学校だからといってもそこは他の一般的な学校と大差はない。強いて言うならその規模が桁外れに大きい事だが、方向性としてはごく一般的な文化祭のソレだ。


 ユズの容姿が人並み外れて優れている事は周知の事実。下世話な話ながら付け加えると、年相応の健全な高校生男子には目の毒なモノもお持ちでもある。

 クラスメイトの男子たちとしては、そんな彼女のメイド服姿は決して譲れない夢だった事だろう。加えて乗り気な女性陣も一定割合存在すると想定すれば、口下手な彼女では押し流されてしまう事も容易に想像が出来た。


「そりゃ大変だ。接客側だろ?」


「……うん。雨宮くんは?」


「ウチはお化け屋敷だってさ。一部がすごい張り切ってるのもあって正直本番はほぼノータッチだから、他所の手伝いメインになる」


 その特性上クセの強い面々の集う製鉄師科とは違い、どちらかというと普通科には生真面目な面々が多い傾向にある。とはいえ彼らも年頃の学生、遊びたい騒ぎたい等の欲求は抑圧されながらも確かに存在していた。

 聖憐祭は数少ないそんな欲求を発散出来るイベント、彼らの張り切りようも生半可なモノではない。


 これは例年の事だが、製鉄師科用の大型演習場を借りて舞台やライブだのを敢行するクラスもいくつか存在する。特に校内規模の舞台である聖憐記念館の使用権利争奪戦は、吹奏楽部や合唱部、或いは演劇部などで毎年のように熾烈を極めていた。


 ――そんな談笑を交わしながら、ゆっくりとした通学路を辿っていく。

 聖憐との距離がそう長いわけでもない、数分と経たぬ内に白亜の壁は巨大になっていき、周囲には同じ聖憐生徒の数が爆発的に増加していく。もう少し進めば寮生たちの登校ルートとも合流するため、余計に人の波は大規模になる事だろう。


 早々に校舎に入ってしまいたいところではあるが、何故だかふと愁の目を引く光景があった。


「……?」


 愁の記憶が正しければ、ソレは元々年季の入った古い家屋が建っていた場所だった筈だ。


 住宅街から少し外れた位置に在るそこは現在、その骨組みから崩れて倒壊した瓦礫の山が積まれていたのだ。今の時代で魔鉄建築、或いは補強措置を行なっていない家など大阪では珍しい部類になる。

 火事でもあったのかと思えば、どうやらそういう訳でもないのだろうか。崩れた瓦礫には燃焼したような痕跡は見られず、何かしらの衝撃によって物理的に崩落した、といった印象が感じられた。


 加えて、廃屋の周りには複数人の人影があった。その内訳は距離がある事もあってよく見えなかったが、うち何人かが魔女アールヴァであるという事だけはわかった。つまるところ、彼らは製鉄師の一団であると推測される。

 彼らが出張っているという事は、大概の場合は未登録の違法製鉄師による犯罪行為の対処。先ほどユズから聞いた件もある、少しばかり不穏な予感を感じざるを得ないが、それよりも。


 無性に、その無惨なまでに砕かれた廃墟を包む空気感から目が離せなかった。


「――っ、づ」


「……雨宮くん?」


 不意に、ずきりと眼の奥の方が痛む。


 珍しいことではなかった。あの夢の残滓が、触れるもの全てを切り刻む嵐の欠片が、直接神経を抉ってくるかのような痛み。今朝の調子から覚悟はしていたが、想定よりも早い到来への苛立ちからつい舌打ちをしてしまう。

 しかも、従来のそれよりも相当にタチが悪い。夢の中で直接味わう地獄に比べれば遥かにマシとも言えるが、意識が覚醒している状態でこれ程に痛みを訴えてくる事は稀だ。


 頭を抑えて立ち止まった愁の様子を見かねてか、少し心配そうに金色の双眸が彼の顔を覗き込んでくる。


「大丈夫?」


「……ああ、ただの頭痛。ちょっとキツいのが来てさ、たまにある事だから気にしないでくれ」


 脈拍に合わせて血流が流れるたび、ずく、ずく、と圧迫感を伴ったような痛みが走る。痛みに堪えるように閉じてしまった瞼の裏で真っ暗な視界の中で、あの死の風に切り刻まれていくような錯覚が消えてくれない。


 奇妙な確信があった。あの廃墟を包み混む『何か』の気配に呼応して、夢の中のあの世界が暴れ出しているかのような感覚。あの空間に意識を向ければ向けるほど、この痛みは強く激しく広がっていく。

 少しでも早く、ここから離れなければ。なぜだか分からないが、あの廃屋に対して強烈な忌避感が拭えない。


「行こう、ユズ」


「……無理、しないほうが」


「――行こう」


 半ば強引にそう断って、返事も待たずに歩き始める。背後では困惑した様子ながらも、心配そうな面持ちでユズが小走りで追いついて来ていた。

 乱暴な振る舞いをしてしまっただろうかと心のどこかに後悔の味が滲むが、ソレすら頭蓋を鑢で削られるような痛みに塗りつぶされていく。他人を慮る余裕など、少なくとも今の愁には残ってはいない。


 背筋に伝う冷たい感覚と額に滲む脂汗が、ただ気持ち悪くって仕方なかった。


 ⬜︎ ⬜︎ ⬜︎


「ふーむ……」


 時は半日ほど流れ、放課後のこと。軽く体を動かしながらも、今朝の妙な事象についての考察を深めていく。

 別に、ああいった頭痛が起こることは今更の話だった。その時折の体調の良し悪しで当然変化はあるが、だいたい二日に一回くらいの頻度で起こる、といったレベルの何でもないこと。まぁ、その酷さに関しては今朝のソレは飛び抜けていたが。


 疑問なのは、それに伴って愁の身を襲った強烈な忌避感。あの廃屋に対して抱いた嫌悪は、これまでに感じた事もないようなモノだった。


「どうした色男、女の悩みなら相談に乗ってやるぜ」


「……そう見えるんなら、お前の目は節穴もいいところだ。ルイ」


 背後から掛けられた下世話な問いに対して、振り向きもせずに悪態を返す。今でこそ収まったが、頭痛が引いていくまで堪えつつ何とか授業を乗り越えた後の一言目がそれだったのだ。辛辣気味な返答になるのは大目に見て欲しい。


「しらばっくれたって無駄だぜ。俺のツレからのタレコミでな、今朝、製鉄師科の女子と一緒に登校してたらしいじゃねぇか」


「……知り合い。登校中にたまたまエンカウントして、わざわざ距離離す理由がなかっただけ。というか、よく製鉄師科って分かったな」


「舐めんなよ青二才め。俺らは普通科のツラがいい女子は全員顔と名前までリストアップして余さずワンチャン狙ってんだ。その俺らが知らない上に、とんでもねぇ美人だったそうじゃねぇか。と来ればそりゃ製鉄師科以外あり得ないね」


「終わってるよお前……」


 自慢げにとんでもなく情けない事実をカミングアウトした級友に呆れながら、机に並んだ筆記用具の類を鞄に押し込んでいく。恥も外聞も知ったことかと言わんばかりの暴挙だが、彼の日頃の行いを鑑みれば今更な事だった。


 ニヤニヤという擬音がピッタリ当てはまりそうな、腹立たしい表情をした金髪の青年――香月こうづきるいは、高等部に進学して以来の付き合いとなるクラスメイトだ。その言動からも容易に想像がつく通り、なりふり構わず可愛らしい女子へと突撃しては玉砕の繰り返し。ことメンタルの強さに関しては、ここまで来ると逆に尊敬に値する。


「馬鹿な事言ってないで、聖憐祭の設営するんだろ。モノはどこに置いてあるんだよ」


「おっとそうだった、いやぁ助かるぜ愁。ちなみに場所は別棟の四階にある旧音楽準備室な」


「いや遠っ、何でまたそんな所に」


「昔に使われてたモンを俺ら軽音部で発掘したんだ。しっかり魔鉄製だからな、質の劣化もないぜ……重いけど」


 彼の所属する軽音部は、実のところかなり新しく新設された部活だ。具体的には今年の四月に現三年生が設立したばかりで、部員も現状ルイを含む二年生を合わせて五人のみ。

 道具が残されている事からも分かるように昔にも軽音部自体は存在したそうだが、人数が足らず廃部になったきり新設される事がこれまでなかったんだとか。人が欠けた理由は当時の部員たちの痴情のもつれだとか、そんな情けない通説も一部では囁かれていた。


 ――当のルイが入部理由を『女子ウケしそうじゃね?』と語っていたので、他の部員たちには悪いが、いずれ歴史は繰り返されるのではと愁は踏んでいる。


 ちなみに余談だが、軽音部の部員が少ないとは言ったものの、それはあくまで普通科においての話。全ての部活動は普通科と製鉄師・魔鉄加工技師科で分かれており、あちら側では軽音部はそこそこの部員が所属しているそうだ。


 分けられている要因としては様々あるが、中でも大きな理由はそもそものカリキュラム自体がそもそも大きく異なっている点がまず一つ。加えて、ごく一般的な世界の範疇で生きる普通科と、超常の世界を常として生きる製鉄師・魔鉄加工技師科では、軋轢が発生しやすいという事が大きく挙げられる。


「それで、女じゃねぇんなら実際どうした?聞くだけ聞いてやるよ」


「……じゃあ聞くだけ聞くけど、緑地方面からちょっと逸れた所にあったボロ屋敷、知ってるか?今朝見たら瓦礫の山と化してたんだけど」


「瓦礫の山……あぁ、そういや昨日消防のサイレンがやかましかったっけ。それか?」


 “そんなこともあったな”といった様子のまま携帯を手慣れた様子で操作したルイは、十秒と掛からずにSNSのワード検索の結果らしき画面を見せてくれる。曰く、昨夜の日付が変わる頃に住宅街から外れた一角で小規模ながら家屋の爆発・炎上事件が発生したとか何とか。

 騒ぎを察知して消防が駆けつけた頃には、家屋の老朽化が進んでいた事もあり殆どが燃え尽きて鎮火状態。被害者も居なければ周囲からも孤立した立地だったため、幸いにも損害は最小限に留まったそうだ。


「……燃え尽きた、って感じじゃなかったけどな」


「でも、実際燃えてたって目撃証言はちらほらあるぜ。ってか、それがどうしたってんだよ。そのボロ屋敷に思い入れでもあったのか?」


「そういう訳でもない……んだけど」


 ルイと二人、問答を続けながら廊下を歩いていく。彼の推論はほぼ間違いない――というか事実なのだろうが、妙な違和感がどうにも拭えなくて首を傾げる。

 あの時、瓦礫の山を中心として感じた強烈な忌避感。別に第六感のようなモノを信じている訳でもないが、それがただあの頭痛と重なってしまったから感じた錯覚なのか、あるいは何かしらの脅威を感じ取っての事なのか。それが無性に気になって仕方がなかった。


 ……まあとはいえ、自らあの屋敷に再び近づくのも気が引ける。積極的に関わって解き明かそうなどという気も、さらさら持ち合わせてはいなかったが。


「ま、考えても仕方がないか。悪い、忘れてくれ」


「悪いってんなら誠意で示してもらう必要があるよなぁ?これは件の製鉄師科の美少女を紹介してもらうという事で……」


「設営バックれたって良いんだぞ俺は」


「すんません」


 言葉の綾をとってつけ上がってくる級友を、逆に脅し返して黙らせる。軽音部は人数が少ない都合、彼らだけで出来る事前準備には限界があるのだ。

 見るからに態度が縮こまっていく級友にケラケラと笑いながら、帰宅ラッシュで混雑した廊下を縫うように歩いていく。聖憐祭まで一週間とない事もあって、普段よりもその活気は一層満ちているように見えた。


 ――まさかその開催すら危ぶまれる事態が控えているなど、この当時には思いもよらなかったが。

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