第49話

『─…失礼なことを言って、ごめんなさい』





ビジネス社会の謝罪の言葉なんて知らない。私は楓や副社長サマとは違う。"ごめんなさい"って言葉を謝罪の言葉だと思って今まで生きてきたから。






これ以上の謝罪の言葉なんて知らない。あぁ…申し訳ありません的な?そーいうやつ?土下座でもしましょうか?副社長サマー。







パソコンの画面に頭を下げてから…こちらを呆然と眺めている楓の横を通り過ぎて寝室に戻る







──…ほんとはね、今日ちょっとだけ…ヤなことがあったんだ。






桝井さんは、見た目が派手でチャラいのもあって…お店のスタッフにとても人気のある人だから。彼に絡まれると…他の女性スタッフから地味な嫌がらせを受けることがあった






だから─…楓に癒されたかった。ギューってして、充電したかっただけなの。ごめんね、楓






寝室で横になっていると、しばらくして楓が入ってきた。






「─…美羽、専務に何か言った?なんで謝ってたの?まさか─…何か失礼な発言をした訳じゃないよね?」






私が何か言ったこと、前提なんだね。私が何か言われたとは考えられない?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る