第36話
二人でお風呂を出て、リビングのソファーの上で向き合って座る
「さっき言った通り、芹菜さんは専務の奥様の名前。美羽の名前はすぐ口から飛び出るのに、他の女性の名前を呼ぶのは俺には難しいみたいで。専務の前でも中々呼べなくて…一人外で練習したりパソコンに名前を打ち込んだり…」
あぁ…バカなんだこの人。
言えばいいのに、上司の奥さんの名前だって。
言ってくれたら全部クズ副社長のパワハラ発言のせいにして終わった話だったのに。
だけど、専務大好き人間の楓は、ヤツの奥様の名前を迂闊に口外してはいけない…なんて。そんなふうに思っていたんだろうな。
だから"関係ない"なんていって…私に隠れて女性の名前を言う練習をしてたなんて…ほんと、どうかしてるよこの人。
「俺としては、名前を呼んだつもりはなくて…芹菜さんって単語が口から飛び出したみたいな。そんなつもりだったけど、それが美羽をひどく傷つけたなんて知らなくて…ごめん美羽」
確かに、嫌だった。
知らない女性の名前を言われて、それが関係ないことだと言われたのは…嫌だった。
でも、それじゃない。そーじゃないんだよ楓
『心配だから─…毎日、遅くまで仕事してる楓をみてると…心配になるからさ。たまには横になって少し休んでね…って、私が一番言いたかったのは、それ。ごめんね?無視したりして…自分で口をきかないって言っちゃったし、変に意地張って…楓が嫌がるって分かっててダメだって言われた洋服を着て出歩いてみたりした。知らない"芹菜さん"に嫉妬して…ひどいこといっぱい言って…ごめん』
ほんとにひどいこと、いっぱい、、
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