第28話
結論から言うと─…その日は悲惨だった。
俺は今日ハジメテ…失敗を犯した。内容でいえば、とても些細なこと。"専務を待たせてしまった"車を用意するのが少し遅れてしまい…専務のことを数分待たせてしまうという失態。
「いや、別に怒ってねーよ?小山内が気にしすぎなだけ。お前過保護かよ、少し待たされたくらいで死んだりしねぇよ、俺は。」
なんて優しい言葉をかけて下さる専務に胸をうたれた。それと同時に罪悪感が芽ばえる。
"芹菜さん"呼びを、辞退させてもらうことは出来ないだろうか…なんて、専務に歯向かうようなことを考えてしまう俺を、専務は許してくれるのだろうか?
俺が疲れていると判断されたのか、専務はいつもより早く俺を退勤させてくださり…俺は急ぎ足で帰宅する
しかし─…いつも点いている電気がどれも消されたままで。なのに、ダイニングテーブルの上には俺の食事が用意してあって。
『美羽、どこにいる?』
22時を過ぎても、23時を回っても帰らない美羽
そもそも夕飯を一度作ってから出掛けるって…なに?何か予定があったなら連絡してくれないと、普通に心配になる。
ガチャ…っと、リビングのドアが開いて振り返った俺の視界に入った美羽の姿を見て…未だかつて味わったことの無いハジメテの感情がグルグルと全身を駆け巡る
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