第27話

『……美羽、昨日はごめん。』





素直に、謝った。"芹菜さん"って単語を口に出したことは…彼女にとって、いい気分ではなかっただろうと思ったから。






なのに─…それでも美羽は俺のことを見てくれない。なんで…?俺そんなに悪いこと…した?






美羽は黙ったまま、カバンからスマートフォンを取り出すと…俺の目の前でソレを操作し、






【楓とは二度と口きかないって言った。】






そんな残酷なメモを俺に見せてから、背を向けて出ていってしまった。






それはまるで─…死刑宣告のようで、ほんとこの世の終わりを告げられたみたいな…こんな気分。






出ていってしまった美羽を追いかけることも出来ず、とりあえず仕事に向かう準備を進める。しかし…頭の中は美羽のことでいっぱいで…食欲なんて全く湧いてこない。






それでも…美羽の作ってくれた朝食を残すなんて出来なくて…持ち運びやすいように小分けにされた手作りのサンドイッチをみて、、俺の生活リズムを考えて色々用意してくれている彼女に、今更だけど感謝の気持ちが沸き起こる

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