第22話
どうやらこの男…私が後から慰謝料を請求するとでも思っているみたいで。円満にことを解決しようとしているのだと悟る。
『あー…あの、ただの擦り傷なので大丈夫です。ドラッグストアでも寄って適当に手当して帰るんで、』
「では、僕が買ってきますので。貴方は…ここで待っていてください。」
近くのベンチに私を座らせ、背を向けた─…っかと思うと、再び私の方を振り返って、
「これ…着てください。汚した僕が言うのもなんですが、、」
自身のスーツのジャケットを、私の肩にかけると…小走りで去っていく
いい人なのか悪い人なのか─…どっちかにして欲しい。どうせなら終始イヤな奴で終わって欲しかった。
スーツを人質のように私に押し付けて去ってしまったものだから…黙って去ることもできない
やがて─…戻ってきた彼が手渡して来たのは…消毒薬やら絆創膏…ガーゼ、塗り薬、、色んなジャンルのものが大量に入った袋で。
「アルコールにアレルギーがあるか確認し忘れたので、色んなジャンルの消毒薬を。あと、絆創膏で肌が荒れたりするタイプならガーゼの方がいいかと思い念の為。それから傷が深いようなら塗り薬をっ─…」
『いやっ、あの─…ここまでしてもらうと逆に申し訳なくなるんで!もう帰ってもらっていいですか?』
消毒薬と絆創膏を1つずつ手に取って、ジャケットと共に彼に押し付けた。
『貴方の勤め先も知らないし、今後付きまとうようなこともしないです。なので安心して、どうぞお引き取り下さい』
っと、淡々と述べたところで私のスマホが着信を知らせる。─…まぁそーだろうな。遅刻してるし、もう既に。
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