第18話
『─…芹菜って、ダレ?』
その問いかけに答えるつもりがないのか、パソコンと向き合って忙しそうに手を動かし続ける私の彼氏。
『ねぇ、"芹菜さん"って…ダレ?』
どー考えても女の人の名前。何度頭でリピートしても変わらない…女性っぽい名前。
楓の口から女性の名前が出てくるのは珍しい。しかも苗字ではなく…おそらく、名前。芹菜さんって…"さん"をつけているあたり…年上?
年上の女と密会してるっ?!いや、ちょっと待て…もしかしたらあのクズ副社長の嫁の名前が芹菜さんだったり─…いや、ない。それはない。絶対に、ない!!!
だっていつも楓はクズ副社長の嫁のことを"奥さん"とか"奥様"って呼んでる。それに愛妻家気取りで嫁を溺愛してますアピールしてるクズ副社長が、秘書(パシリ)に自分の妻を名前呼びさせるとは思えない。
うん…やっぱり浮気してんな、この男。
「──美羽、顔がうるさい。」
………は?顔がうるさい…とは?
「答えられることならいつもすぐに答えてるよね?答えないってことはそーいうことだから。美羽には関係ない、もう何も言わないで」
関係なく、ないでしょ?
『───楓なんて、もう知らないっ!過労死しても絶対に悲しんであげたりしないっ!それでもクズ副社長の事は恨んでやるっ!楓が居なくなった後なら、いくら悪口言っても許されるもんね?クズ副社長の万年パシリの小山内 楓さん!どうぞ、どうぞ"芹菜さん"と仲良くやってくださいっ!私はもう知らない、何も言わない、二度と楓とは口を聞かないっ!!!』
「だからさぁ─…クズっていうの、やめて?」
クソブラック企業に身を捧げて、力尽きやがれ、塩顔塩対応岩塩男。永遠のパシリ野郎!!
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