第7話

─……副社長の嫁の機嫌は直ったのだろうか?





なんだかんだ、そこを心配してしまう自分自身がイヤになる…いや、別に副社長の家庭が崩壊しようが私には関係ないし?!楓なら今の会社じゃなくても、何処ででもやっていけるだろうし、別に副社長がどうなったって…いい…ことは、ナイ。だってそんなことになったら、きっと楓がひどく落ち込むだろうから。






専務大好き人間の楓は、きっと自分の事のように落ち込むだろうから…だから、さっさと嫁と仲直りして1分でも早くウチの楓ちゃんを退勤させろ、クソ副社長、ブラック企業の日本代表、闇の支配者一ノ瀬 海吏っ!!!







「──…美羽っ、」





ハッと、大好きな人の声が聞こえて慌てて顔をあげる…っえ、なんで居る?颯爽とチーズケーキを握りしめて出ていった男が、なぜ目の前に居る?……うわ、心の中でクズ副社長を罵ってることがバレたっ?!それでわざわざ注意しに戻ってっ、、







少し息が乱れているように…見える、そんないつもより少しだけ余裕を失っている楓を見て私が不安な気持ちになる。






──…クズ上司にパワハラでも受けたか?





なんて心配している私をよそに、楓は私の頬をフニっと摘んでジッと顔を見つめてくる

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