第5話
なんの疑いもなくその人に着いて歩き、事務所のようなところに通されて─…
「──こちらのカードは、ウチをご贔屓にしてくださっている方の名義のもので…大変失礼ですが、お客様とその方とのご関係をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
尋問…みたいな、その聞き方に。あぁ…カードを盗んだと思われてるんだ…って、なんとなく察した。
っていうかこの場合、なんて言えばいいの?一ノ瀬 海吏 の秘書をしている小山内 楓という男の彼女です。って正直に言えば解放される?
「─…お客さま?」
『一ノ瀬 海吏、勤め先の社長の息子であり副社長のくせにっ…"専務"だって名乗って働いている偽善者。愛妻家を気取ってるけど、ぜったい束縛のやばいサイコパス野郎の変態。何よりも秘書の小山内のことを振り回してばっかりの最低最悪クズ中のクズ!!そのカードの持ち主について、私が知っているのはその程度ですが、他にも聞きたいならまだまだ教えますけど?!!』
「お、小山内さまのお知り合いですかっ?!大変申し訳ございませんっ!どうかお許しくださいっ!!!」
何故か、一ノ瀬のクズ副社長ではなく、楓の知り合いということで解放された私。まぁそれほどかなりの回数、ここに通ってるということだろう…本当に、ご苦労さまです小山内秘書。
楓の名前を出したおかげで解放された私は、クレーマーにでも見えたのか…購入したチーズケーキの他に、両手に抱えるほどの手土産を持たされた。
「ほんっとうに、申し訳ありませんでした!」
楓─…っというよりも、一ノ瀬のクズ副社長に告げ口をされることを恐れたのか…先程の男性は何度も何度も私に頭を下げる。
おい、そろそろやめてくれないと…私がガチのクレーマーみたいに見られるだろ、さっさと顔上げろよアンタ男でしょ。
っと、心の中で目の前の男を罵ってから背を向けて楓の元へ急ぐ。先程メッセージを送ると1分も経たないうちに既読がつき─…
【会社横のカフェ】
お礼の一言もなく、たった一文…送られてきた
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