第3話

『だいたい、副社長のクセに"専務"とか名乗ってる時点で胡散臭いんだよ…絶対二重人格の最低なクズ男だろ、あのイカレ専務。』





そう、楓が仕えている専務という人間、、






一ノ瀬 海吏 という男は…社長の実の息子であり会社の時期後継者。つまり副社長にあたる人間のクセに、あくまでも専務という形で働いているという謎の胡散臭さが漂う男。





だから私はあえて"副社長"と呼んでいる。嫌味を込めて、そう呼んでいる。専務なんて呼んでやらないっ!副社長なら副社長らしく堂々としてろよ、ろくでなしっ!!!






なんて…実際に会ったことはないが、見かけたことは何度かある。私の大事な楓をパシリに使っている男だ。とても好きにはなれない。






秘書─…なんて聞こえがいいけど、実際に楓がさせられていることはパシリに近い。このチーズケーキのこともそうだけど。






『副社長の奥さんの機嫌とる前に─…私の機嫌とったらどうですか、小山内 楓さん。』






楓のこのおかしな頼みごとは、なにも今日に限った話ではない。






【車が必要だから今から指定する場所まで車で来て、美羽は電車で帰って】




【タクシーが捕まらない。どこかで拾えたら会社まで乗ってきて?】




【専務のパソコンが壊れた。美羽のパソコンのデータ全部消して持ってきてくれる?今すぐ必要なんだ、弁償して新しいものを後日届ける】





パシリをさせられている彼氏に、パシリにされている彼女の私。





仕事優先、上司優先の最低最悪な彼氏だけど…

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