第48話
吏菜は俺のその答えを聞いても…結局は瞳から大粒の涙をボロボロと流した。手錠でベッドの柵と繋がれている手を伸ばして、吏菜の頬を伝う涙を親指で拭う。
「……楓羽は、優しいね」
って。俺が好きだと言えばいつも吏菜は少し寂しそうに笑ってから”優しいね”と言う。
『普通だよ。でも優しくするのは吏菜だけ』
「……吏菜だけ?」
『そーだよ、俺にはいつだって…お前だけ』
なんて…もうずっと前から言ってるよね?
「……そうだよね、楓羽には私だけだよね」
人より少しヤキモチを妬いてしまうだけで、吏菜は俺のことを誰よりも好きで居てくれているからたまに暴走して縛り付けるような行動をしてしまうだけだ、って。俺はそう思っていた。
『あぁ…ずっと一緒に居るんだろ?』
でもそれはっ…言うなれば俺の”願望”で。吏菜の本当の気持ちはそんな簡単に片付けられるような軽いものではなくて─…
「そーだね。ずーっと、一緒だよ」
吏菜は…愛情とは別の情を抱いて俺と一緒に居るのだということに俺が気が付くのは…まだもう少しあと─…吏菜を失った時初めて、気付かされる事になるんだ。
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