第45話

『りっ…な、、』



俺を許してくれたの…?っと続くはずだった言葉は、吏菜が俺をベッドに押し倒したことによって遮られた。




「……考えたの。どーしたら安全な方法で楓羽に針を千本飲ませられるのかなぁ…って」




……どうやら彼女の怒りはまだ収まっていなかったみたいだ。




「あのね?ふーくんってイカ、嫌いだよね?」



『……苦手、だね』



「じゃ、これも苦手でしょ?」




一体なんの関係があるのか不明だが、吏菜が俺に見せてきたのは”イカソーメン”と書かれた駄菓子のパッケージの袋で。




『……好きではないね』




なんとなく、嫌な予感がした。




「これ、めちゃくちゃ細かく切り刻んで千本、用意してみたよ。飲みこんでも問題ないって保健医の先生にも確認済!っさ、一本ずつ飲ませてあげるから大人しくお口、開けようか?」




右手はベッドの柵と共に手錠で繋がれ、左手は吏菜にギュッと握られて身動きが取れない。




「はい、あーん」




針状…というより、小指の爪くらいの長さに切られた短い”イカソーメン”のお菓子。それを手に持って笑顔で俺の口元に運ぶ彼女は…やっぱり少しだけ、変わっているのかもしれない。

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