第41話
背後から吏菜の声が聞こえたような気がして、慌てて振り返ると…教室から出てきた吏菜が弁当箱を手に持って俺の元まで歩いてくる。
「食べて」
『……要らないっ、吐き気する』
「それ、お腹減ってるからだよ」
『………そーなの?』
「朝から何も食べてないよね?これ、食べて」
『…吏菜と一緒じゃなきゃ食べない』
「あー…そ。じゃあ捨てるね」
…え、捨てるの?っと思った時には既に遅し。廊下の窓を開け放った吏菜は、下を確認することもなく窓の外に弁当箱を放り投げた。
「…え?ちょ、、危ねーぞ!!!避けろ!」
一部始終を見ていた生徒が窓から身を乗り出して下にいる人間に”避けろ”と叫んだ。吏菜は真顔で俺ことをジッと見てから…笑った。
「早く取りに行かないと、昼休み終わっちゃうよ?残さずちゃんと食べてね?ふーくん?」
その後すぐに俺に背を向けて教室に戻った吏菜を追うような真似はしない。─…吏菜が食べていいよ、っと言ってくれた
俺の中ではそれだけで生きる活力が湧いてくるわけで、走って吏菜が投げた弁当を取りに向かう。
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