第39話

気付いた時にはもう、走ってた。何を言おうか考えがまとまった訳では無いが…ムカついた。俺のことは無視するのに、他の男と会話してることにもムカつくし、一緒にご飯を食べないと勝手に決められたこともムカつく。




『─…吏菜っ!!』




吏菜のクラスに入ってすぐ、大きめの声で名前を呼んで吏菜の元までいけば─…周りのクラスメイトたちは空気を読んでサッと離れて二人きりにしてくれる。




なのに、吏菜は俺を視界に入れることなく一人弁当を広げて食べ始めた。




俺は─…そこまでされるほどのことをしたのだろうか?っという疑問が生まれ始める。




『……吏菜、これっ』



名も知らない男に渡された弁当を吏菜の前に差し出すも…相変わらず俺は視界に入れて貰えない。




『………ここで一緒に食べてもいい?』



吏菜の席の前に座り、向かい合うようにして座ってみる。それでも目を合わせて貰えないので静かに席を立って吏菜に背を向けた。




──…あー…もう死のうかな、




数時間、吏菜に無視されただけで本気で自死を選択しようかと迷ってしまうほどに─…俺の中で吏菜という人間は特別で…絶対的存在。

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