第35話

もはやケガなんてものは一夜にしてほぼ回復している。ので吏菜の家で世話になる義理なんてものはないしそもそもの話俺のケガは吏菜のせいでは無い。




俺の事を完全シカトする吏菜。朝食も食べずに家を飛び出していくのでご両親に頭を下げつつ俺も吏菜の後を追う。




それでも俺の方を振り返ることもなく早足で先を歩く彼女の後ろ姿を見て、俺のメンタルは足を進める度に削られていく訳で。




学校に着いて教室にたどり着いた頃には─…




「……え、生きてる?」



っと貴弘に生死を確認される程に生きる気力を失っていた。……ていうか、




『…あのさ、そのケガどーしたの?』



昨日保健室で別れたきり会っていなかった貴弘。何故か俺と同じように右の足首の辺りに包帯が巻かれている。




「ん?あ、あぁこれ?これは…そうだな、、えっと〜…転んだ」




『……そーなの?大丈夫?』




「うん…全然っ、余裕余裕…」




少し顔を引き攣らせてそう言った貴弘。全く…おっちょこちょいなんだから。

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