第33話

『……そんなことで、俺が吏菜を嫌いになると思う?』




分かってる。吏菜のこの縛り付けるような態度や行動…言動は全て─…不安からくるものだって分かるから、、突き放せない。



──…それに、




『お前に依存してるのは、俺の方だから』



多分一人になって生きていけないのは俺の方。だから吏菜の多少のワガママを聞くことくらい本当、どうってことは無いんだ。




『もっと俺を、束縛していーよ…吏菜』




そうすれば俺も安心出来るんだ。今日も吏菜は俺を好きで居てくれるんだって…安心出来るんだよ。




「ふーくん、変なの」



俺の腕の中で小さくそう呟いた彼女は、、




「後で後悔しても、知らないよ?」




なんて言って笑っていたけど。後悔なんてするはずが無い。だって俺は吏菜が好きで…自ら縛られることを望んでいるのだから。




後悔するなんて、有り得ない─…と、そう思っていたのに、、。




翌朝、吏菜よりも先に目が覚めてしまった俺は…完全に無意識、いつも通りの習慣…というか流れで黙ってベッドを降りてしまった。




そして、あぁ…そーいえはダメだったっけ?と思い出して再びベッドに戻ろうとした時…振り返った先で身体を起こしてこちらをジッと見つめている吏菜の姿があった。




驚いて肩を揺らした俺をただジッと見つめている吏菜に、一歩近付いた時…吏菜は俺を視界から消して黙ってベッドから降りると、そのまま俺の横を通り過ぎていく。

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