第32話

「……ふーくん、起きてる?」



手錠の代わり、とでもいうように…ベッドの中で強く俺の手を握っている吏菜。黙ってその手を握り返せば─…




「…えっちなこと、する?」



なんて言って俺を困らせる可愛い天使。さすがに彼女の実家でご家族がご在宅の中そんなことをする勇気なんて俺にはなくて、、




『んー…それは今度二人きりのときにするから、今はこっち、、』



身体を横に向けて、隣で仰向けに寝転んでいる吏菜を腕の中に閉じ込める。…吏菜の匂いだ。




「……これだけ?いーの?」



『そーいうこと、する為に付き合ってるわけじゃ無いよね?』



「…吏菜のこと、嫌になった?」



『……なんで?』



「ふーくんの友達、言ってたよね?吏菜のこと普通じゃない…って」




………あのやり取り、聞いてたの?

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