第30話

「ねぇねぇ、これなぁーんだ?」



机の引き出しから可愛らしいピンク色をした輪っかのようなものを手に持って…ベッドの上で大人しくしている俺に近寄ってきた吏菜。




『……なに、それ?』



「ふーくんを保護するために必要な道具だよ」




プラスチック製のおもちゃ同然のそれをガシャン…と広げた瞬間、正体が明らかになった。




『りなっ、待っ…』



「ふーくん、つーかまえたっ」



俺の手首にソレを装着した吏菜。完全におもちゃで本気を出せばねじ曲げられそうなほどの細いプラスチック。それでも形は─…立派な手錠




手首に片方をつけて、もう片方をベッドの柵に固定した吏菜。自由を奪われた俺を見ては…嬉しそうに笑う彼女。ゾクッと身震いをする俺に吏菜は笑顔で、、




「これで、ずっと一緒に居られるね?」




なんて…こんなことしなくても、俺にはずっとお前だけだよ…吏菜。

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