第19話

今日は外で実験をする、とだいぶ前の授業から先生が張り切っていたのを、理科室についてから思い出した。




「あ…校庭集合だっけ?」



『みたいだね、完全に忘れてたね』




虚しくもそこでチャイムが鳴ってしまい…俺と貴弘は二人して意図せず授業をサボったようなかたちになってしまった。





「…ダレるわぁ、どこで時間潰す?」




完全に授業をサボる気満々の貴弘。そもそもこんな風に毎度一緒にいる貴弘だが…彼は俺とは真逆の人種と言っても過言ではない。




派手な髪色に、着崩した制服。耳にぶら下がるチャラチャラした飾りの数々に加え、毎朝入念にセットしていると思われるオシャレなウェーブがかった髪型。…パーマではなくヘアアイロンでセットしているというからびっくり。




そんな貴弘をスクールカーストなんかで表してみればぶっちぎりの一軍。上位で下々の生徒諸君を見下ろしては笑っているような…そんな人材。見た目が派手だというのは勿論のことだが男気のある言動や行動をとることが多い彼を慕っている人間は大勢いる。





そんな貴弘がなぜ俺みたいな何の面白みもない三軍同然の下々の人間と一緒に居るのかは…俺にもよく分からない。




──…だから、




『えー…サボりたいなら一人でどうぞ。俺は真面目だから校庭まで走る』




一緒に悪の道に進もうとは思わない。俺は不真面目な生徒では無いので。サボる…なんて怖くて出来ない。

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