第16話

吏菜を怒らせると…何をするか分からない。っと言うのも、俺は過去に一度吏菜を怒らせてしまったことが原因で…取り返しのつかない事態に陥ったことがある。




忘れもしない、小学一年の夏休み。近くの公園で吏菜と二人で砂場で遊んでいた時の出来事。





「お水、入れてくるね!!」



バケツに水をくんでくる、と吏菜が砂場から離れた時だった。




「あー!ふう君だ!!!」



同じ小学校に通う女子が一人、砂場にいる俺を見つけて走って駆け寄ってきた。




なんだ?、と彼女の方を向いた時…走ってきたその子は足を挫いたのか、、そのまま俺の元へと吹っ飛んで来て─…避けきれなかった俺の上に倒れ込んだ。




それだけならまだ良かった。問題はその後…何を思ったのかその子は…黙って俺の頬にキスをしたんだ。





その直後、すぐ近くに立っていた吏菜が手に持っていたバケツの水を俺の上にいる女子にぶっ掛けてから─…俺を見て、笑ったんだ。




「……ばいばい」



小さな声でそう言った吏菜は、そのまま近くの遊具へと足を運ぶと、軽快に階段を登っていき滑り台を滑るのかと思いきや…階段を登りきったところで足を止め…その場で手を広げて後ろ向きに倒れた。

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