第11話
「………お前、ほんと人たらしだよな」
まだ居たの?っという意味を込めて貴弘の顔を眺める。…人たらしって、どういう意味?
「あの子、500パーセント楓羽のこと好きだろ。毎回緊張しながら頑張って話し掛けてるの…分からない?」
『……体調悪いのかなぁ、って』
「鈍いなんて通り越してさ、もはやお前の場合あのメルヘンサイコ以外はどーでもいいってことね。」
よく分からないけど、バカにされたような気がする。…まぁいいや、吏菜のところ行こう。
貴弘を放置して、屋上へと向かえば…ベンチに座りこちらをジッと見つめている吏菜の姿が真っ先に視界に入った。
『吏菜、待たせてごめんっ』
屋上に足を踏み入れ、駆け足で吏菜の元まで向かった。そんな俺を見て優しく笑った吏菜は、手に持っていたお弁当箱を開いて俺に手渡す。
「ぜーんぜん。ふーくんのこと待ってる時間は幸せなの。今から会えるんだぁ…ってワクワクするからその時間も含めて、楽しいの」
そんなの、俺も同じこと思ってるよ。
吏菜の隣に腰掛けて受け取った弁当を眺める。どれも俺の好きなオカズばかり。毎朝早起きをして俺のために作ってくれている吏菜の手作りの弁当。…尊すぎて、食べられない。
「早く食べて、って。お弁当箱の中で食べ物たちが騒いでるよ!みんな早くふーくんに食べられたいって言ってるよ。ほら…いただきます」
ぱちん、と手を合わせて自分の分の弁当を食べ始めた吏菜。勿体なくて食べたくないけど一緒にお昼を共にしたいので『いただきます』と手を合わせて弁当を有難くいただく。
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