第7話

『………吏菜のこと、悪く言うなら…もう貴弘とは喋らない。今までありがとう…ばいばい』




体操着を持って教室を出た俺の後を急ぎ足で追ってきた貴弘は、当たり前のように俺の隣を歩く。




「ごめんごめん…冗談だよ。楓羽は吏菜ちゃんのこと、大好きなんだもんな」




俺に無視されるのが嫌なのか、案外直ぐに謝ってきた貴弘に…白目を剥いてべーっと舌を出して見せれば、しゅん…と落ち込んだ様子だった

貴弘が大爆笑して笑う。




「そんな変顔してくるくせに美男子のままなのが、くっそ腹立つ!!!」




なんて言いながら俺の肩に腕を乗せて二人三脚のような距離感で歩く貴弘。……近いな?




「憎めねぇんだよなぁ…楓羽は。無気力で鈍感でバカでアホで常にボーッとしてっから。みんな放っておけねぇんだよ」




『……俺、貴弘より成績いいんだけど』



「頭の良い悪いの話しじゃねぇの。ほらそーいうとこだよ、俺に鈍感だって言われる所は。」




──…どーいうところ?意味不なんだが?




「まぁせいぜい気をつけろ?俺からお前に助言してやれることはただ一つ!!お前の彼女は脳内お花畑のソクバッキー…つまり普通じゃないサイコ野郎だって─…それだけ。」





それだけ、って言う割には結構色々語ったね。

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