第5話
好きだよ、付き合おう…なんて言葉を言い合って始まった関係では無い。俺と吏菜は生まれてからずっと一緒にいた。言葉の通り、本当にずっと一緒に。
っと言うのも、吏菜の父親が俺の父の直属の上司であり…母親同士も仲が良かったので。
生まれた時からお互いの家に預けられたり、家族ぐるみで出かけたり。記憶の中の俺の隣にはいつだって吏菜がいる…それは現在進行形で、
「──…
突然、苗字を呼ばれ現実に戻ってきた俺の席の横に立っていた一人の女子生徒。…どうやら俺が過去を振り返っている間に世界史の授業は終わっていたらしい。
『…ん?なに?』
三時間目と四時間目の間の休み時間…次は体育の授業で、着替えなければならない。ので早く用件を述べて欲しい。
首を傾げて尋ねた俺を見て…彼女は頬を少し赤らめて恥ずかしそうに俯いた。……風邪かな?
「昨日の放課後、委員の集まりがあったんだけど…小山内くん来なかったから、」
これ…と言って手渡された”図書委員へのお便り”と書かれた一枚のプリント。見れば読書週間がどうのこうのと書かれてあり…なんだか面倒な仕事の役割表のようなものが掲載されている
「……毎週水曜の昼休み、図書室の受付担当に任命されたみたい。私も一緒なんだけど、一年間よろしくね?」
なんてことだ。先日のHRでボーッと窓の外を見ていたせいで勝手に決められていた俺の委員。やるともやらないとも言わなかったが、図書委員だと聞いて楽そうなのでまぁいいか…と聞き流していたツケが今になって回ってくるとは。
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