第3話

『…吏菜の話し、してた』



未だ俺ではなく貴弘のことをジッと見つめている彼女に少し腹が立って、拗ねたような口調になってしまった俺に気が付いたのか─…



「ふーくん、ヤキモチ?」



今度はしっかり俺の事を視界に入れた吏菜。可愛らしい笑みを浮かべ真っ直ぐに見つめられると…もう他のことは何も考えられなくなる。




「可愛い─…大好きっ」




ちゅ…っと、背伸びをして俺の頬にキスをする吏菜。そんなことは日常茶飯事なので今更クラスメイトたちが騒ぎ立てることも無い。




ただ、俺の心臓の心拍数値は爆上がり。一気に息が苦しくなる。吏菜と居るといつも…苦しい




──…好きすぎて、しんどい。




「またお昼休み、会いに来るね?一緒にご飯食べようね」



『うん、一緒に食べたい…待ってる』




俺の返事を聞いて満足気に微笑んだ吏菜は、そのまま教室を出ていってしまった。残された俺は再び自分の席に戻る訳だが─…




「……メルヘンサイコ、まじパネェ」




吏菜が去っていった方向を見ながら意味不明な言葉を呟く貴弘。独り言のようなので無視して俺は次の授業の支度を始めた。

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