第3話
『…吏菜の話し、してた』
未だ俺ではなく貴弘のことをジッと見つめている彼女に少し腹が立って、拗ねたような口調になってしまった俺に気が付いたのか─…
「ふーくん、ヤキモチ?」
今度はしっかり俺の事を視界に入れた吏菜。可愛らしい笑みを浮かべ真っ直ぐに見つめられると…もう他のことは何も考えられなくなる。
「可愛い─…大好きっ」
ちゅ…っと、背伸びをして俺の頬にキスをする吏菜。そんなことは日常茶飯事なので今更クラスメイトたちが騒ぎ立てることも無い。
ただ、俺の心臓の心拍数値は爆上がり。一気に息が苦しくなる。吏菜と居るといつも…苦しい
──…好きすぎて、しんどい。
「またお昼休み、会いに来るね?一緒にご飯食べようね」
『うん、一緒に食べたい…待ってる』
俺の返事を聞いて満足気に微笑んだ吏菜は、そのまま教室を出ていってしまった。残された俺は再び自分の席に戻る訳だが─…
「……メルヘンサイコ、まじパネェ」
吏菜が去っていった方向を見ながら意味不明な言葉を呟く貴弘。独り言のようなので無視して俺は次の授業の支度を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます