第42話

「……さすがイラストレーター…この短時間でこのクオリティ。ほんと、凄いよ絢音は。」





嬉しそうに私の作った手さげ袋を握りしめて笑う律希さん。いや、それはミナちゃんのだからな?っと思いつつ…褒められたことが素直に嬉しくて照れてしまう。





前にミナちゃんの部屋に一度入らせてもらった時…彼女の勉強机に、最近子どもに人気のクマのキャラクターのシールや文具が置かれているのを偶然にも見ていたので─…





そのキャラクターに似せたクマをフェルトで作って真ん中に縫い付けた。それが思ったよりもいい感じに出来たので、早くミナちゃんに見せたいなぁ…なんて自分でも思ってしまった。






「遅くなったな…申し訳ない、でも助かった」



『このくらい余裕です。いつでも頼ってください─…では、おやすみなさい』





壁に掛けられている時計を見れば…いつの間にか3時を過ぎている。早く寝ないと朝ご飯の支度に間に合わない。





ミシンや布を適当にまとめて自室に戻ろうとした時、隣から伸びてきた律希さんの手が私の腕をギュッと掴んだ





『……なんですか?』



「今週末、何か予定は?」




週末の予定─…最近よく聞かれるが深く関わることを避けていたためいつも”仕事”と言って逃げてきたけど、、いい加減それも通用しそうにない

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