第38話

「……いつもこんな暗い部屋で作業してるのか?」




─…ん?私の質問は何処へ消えた?




「身体に良くないだろ。もう少し明るいところで仕事をするべきだと思う」




そんなことを言うためにわざわざ声をかけてきたの?余計なお世話すぎて何も言い返す言葉が出てこないんですけど。






「それから─…夕飯、絢音はちゃんと食べたのか?」



『……え、』



「いや…俺の分しか用意されてなかったし、他に食器を使った形跡が無かったから。食べてないんじゃないかと思って…」





……変なところ、鋭いな。




『フライパンのまま食べたんで、大丈夫です』




隠すことなく正直にそう言った私に、律希さんは目を丸くして驚いたような表情を浮かべたあと…今度は悲しそうな顔に変わる。





「………逸希が、来たんだって?」




あぁ…結局、この人に余計な心配をさせることになってしまったな─…

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